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中国人はもうネットを読まない。進化する「ムービー検索」で世界激変、報道もECも主役は15秒動画に=牧野武文

AIに任せれば偏向報道はなくなる?

バイトダンスはTikTokが有名になりすぎましたが、その前のプロダクト「今日頭条」が中国で大成功をして、成長の礎を築きました。

今日頭条は、読みたいと思っているニュースがどんどん配信されるニュースキュレーションアプリですが、どのニュースを配信するかというキュレーション作業に人は介在していません。すべて人工知能が決めています。ニュース記事の内容を分析し、利用者がどのような傾向のニュースを読むのかを機械学習し、配信するニュース記事を決めています。このアルゴリズムを開発するときも、ジャーナリズムの専門家はひとりもいませんでした。すべて、ジャーナリズムには素人のAIエンジニアが開発しました。

それが、「読みたいニュースが無限に出てくる」ニュースアプリとして、多くの人に歓迎されたのです。

これは大きな転換でした。ジャーナリズムの専門家であるジャーナリストやエディターが配信するニュースを決めていたら、どうやっても、その人の個性や考え方が反映され、ニュース内容に偏りが生まれてしまいます。場合によっては、偏向メディアとして非難されることもあれば、その偏向ぶりがメディアの個性として受け入れられることもあります。

一方で、今日頭条は、利用者に偏向します。その人が国際政治のニュースばかりを読む人であれば、国際政治のニュースが大量に配信され、その人が芸能人のスキャンダル記事ばかりを読む人であれば、芸能週刊誌のような記事ばかりが配信されるようになります。今日頭条というメディアに個性はなく、無色透明で、使う本人の個性が色濃く反映されるのです。

メディアとは、本来「情報伝達の媒体」という意味ですが、影響力を持つようになると、媒体が意見を主張するようになりました。意見を表明することはかまいません。しかし、偏向がないはずの事実報道の形式を装い、特定の意見に世論を誘導しようとするのは許されないことです。そのため、新聞メディアは、事実報道である記事と、意見表明である社説を分離しています。しかし、それでも、人間が書き、人間が選ぶため、どうしても事実報道も偏向してしまうのです。

今日頭条は、記事内容までは無理でも、どのニュースを配信するか=編集をメディア本来の形に戻しました。

開発が進むムービー検索。「見たい動画」が無限に出てくる

抖音も基本的に同じ人工知能アルゴリズムが使われています。これにより、「見たいムービーが無限に出てくる」状態となり、抖音は中国で、その国際版であるTikTokは世界中で受け入れられました。

抖音の現在の検索機能は特筆するようなところはありません。ハッシュタグのテキストが検索できることと、後はムービーをアップロードする時に、ムービーの中に写っている物体認識を行なっているので、ムービーに登場する物体の名称で検索できているようです。この辺りの仕組みは非公開であるため、わからないところが多いですが、犬や車という名詞で検索をすると、ちゃんと犬や車のムービーが検索結果として表示されます。

張楠CEOが呼びかけたムービー検索エンジンは、このレベルのものではないことは明らかです。

では、どのようなものなのかと言われると想像もつきません。ムービーや音楽もそうですが、そのコンテンツに付属したハッシュタグやタイトル、キャプションなどのテキストを検索することはできますが、ムービーそのものを検索する方法はまだ確立されていません。バイトダンスは、ここに挑戦しようとしていると見るのが一般的で、だからこそ、中国のエンジニアたちは注目をしているのです。

Next: なぜ必要?「ムービー検索」は世界をどう変えるか

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