インターネットの入り口は検索ではなく「コンテンツ」に
TikTokが生まれた中国では、コンテンツ志向が鮮明になってきています。私たちがインターネットを使うのは、インターネットを使うことが目的ではなく、その向こう側にあるコンテンツを使いたいからです。コンテンツとは、テキスト記事もあればショートムービーもあれば、音楽もあり、ECやタクシー配車などの具体的なサービスもあります。
1989年にインターネットの商用化がスタートしてしばらくは、インターネットは「情報の大海」とも呼ばれ、新たな知識と出会う場所でした。インターネットを使うことは「ネットサーフィン」とも呼ばれました。この時代は、検索エンジンがインターネットの入り口でした。何か知りたいことがあると、検索をしてみる。そして情報を知るという使い方です。この要求に応えるように検索エンジンを主力事業にしたグーグルが急成長をしました。
しかし、インターネットは、次第にネットの向こう側にあるコンテンツやサービスにアクセスするツールになっていきました。ECや動画配信、音楽配信などです。こうなると、検索エンジンから入って、それからコンテンツやサービスにたどり着くよりも、最初からアプリやウェブにアクセスした方が早くなります。例えば、ある芸能人の映像を見たいというときは、グーグルでその人の名前を検索するより、最初からYouTubeにアクセスして、その芸能人の名前を検索します。
つまり、検索エンジンから入るのではなく、先に目的のコンテンツやサービスにアクセスして、それから検索をするようになっているのです。
「コンテンツ生態検索趨勢研究報告」(極光)では、検索エンジンに限らず、コンテンツアプリ、サービスアプリの中でどのような内容を検索しているかのアンケート調査を行っています。
すると、第1位にきたのは生活関連の問題、疑問で、以下、知識、商品、ニュースと続きます。多くの方がこの結果には納得されるのではないでしょうか。
では、このような内容をどこで検索しているかです。
それは、もはや検索エンジンではないのです。検索エンジン(検索アプリ)を使った検索は、全体のわずか22.6%で、多くはショートムービープラットフォームやSNS、ECアプリ、ニュースアプリなどを先に開いて、それから検索をかけているのです。
インターネットの入り口が、検索から各コンテンツに移行をしたことが、検索広告大手の百度の業績悪化につながっています。百度は、2019年には赤字寸前になるという危機を迎えました。
その後、以前から転換を進めていた自動運転などの人工知能関連事業が利益が出せるようになり、2020年は持ち直しましたが、もし、百度が旧態依然として検索広告にしがみついていたとしたら、会社はなくなっていたかもしれません。
「多くの企業が独自のアプリの開発を行なっていることはわかっている。もう検索エンジンに頼らなくてもよくなり、企業はアプリを通じて消費者に対して適切な情報提供をすることができるようになる。消費者が、スマホ時代になって、検索エンジンに時間を使わなくなっている。それは私たちにとって大きな問題だ。消費者がサービスを求める時は、まずアプリを利用するだろう。検索エンジンは情報しか提供できず、サービスは提供できないからだ――
・グーグルの検索広告収入は頭打ち
・YouTubeの広告収入は右肩上がり
・テキストは時間を浪費する?ショートムービーの発明が大転換に
・日本にもショートムービーの大波が来る
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- vol.064:中国社会の弱点「信用形成」を補うブロックチェーン技術。その応用事例(3/22)
- vol.063:テック企業にとっての春節。テックサービスを地方と高齢者に伝播をさせる重要な時期(3/15)
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- vol.047:ライブコマース利用者の4類型と5つの対応策(11/23)
- vol.046:デジタル人民元の仕組みとその狙い(11/16)
- vol.045:SARS禍で生まれたEC。SARSで成長したアリババと京東(11/9)
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- vol.023:即時配送が変える小売業態。新小売と社区団購(6/8)
- vol.022 OPPO、vivoを生んだ歩歩高とその創業者段永平(6/1)
- vol.021 感染拡大で実戦投入された人工知能テクノロジーの数々(5/25)
- vol.020 経済復活の鍵は「ライブEC」。感染拡大から広がる新たな販売手法(5/18)
- vol.019 生き残りを賭ける飲食業。鍵は「外売」(デリバリー)(5/11)
- vol.018 ニューノーマル。終息後の新日常は、以前とどう変わるのか?(5/4)
- vol.017 アリババとテンセント。ECビジネスをめぐる衝突(4/27)
- vol.016 敗走するアマゾン、カルフール。理由はグローバルとローカルの衝突(4/20)
- vol.015 中高年にスマホ決済を浸透させた台湾庶民派スーパー「PX Mart」の取り組み(4/13)
- vol.014 1日で4.1兆円売り上げる「独身の日」は、どのように生まれたのか?(4/6)
- vol.013 1日で420億円の商品を売る。網紅の桁外れの販売力の仕組み(3/30)
- vol.012 広告メディアとしてのTik Tok。その驚異のコンバージョンの秘密(3/23)
- vol.011 人口ボーナス消失とZ世代。経済縮小が始まる(3/16)
- vol.010 中国テック企業は、新型コロナとどう戦っているか(3/9)
- vol.009 潜在顧客を掘り起こし、リピーターを育成するモバイルオーダー(3/2)
- vol.008 新小売戦略の要となったフードデリバリー「外売」(2/24)
- vol.007 ミニプログラム活用で新規顧客を獲得する店舗小売(2/17)
- vol.006 中国のEVシフトは成功なのか。それとも失敗なのか?(2/10)
- vol.005 第2位のECに浮上した拼多多とは何ものか?(2/3)
- vol.004 ファーウェイと創業者、任正非(1/27)
- vol.003 シェアリング自転車は投資バブルだったのか(1/20)
- vol.002 アリペイとWeChatペイはなぜ普及をしたのか(1/13)
- vol.001 生鮮ECの背後にある前置倉と店倉合一の発想(1/6)
『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2021年4月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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