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韓国大統領選を前に飛び交う「反日カード」前検察総長が腐敗追求、文政権は“最後の悪あがき”へ=勝又壽良

ユン氏、6月中に出馬表明か

文政権がいま最も大統領選で恐れるのは、ユン氏の立候補である。その理由はすでに述べた通りである。

そのユン氏が、早ければ6月27日に大統領選の出馬表明を行う。ユン氏のスポークスマンがラジオ番組で明らかにしたもの。ユン氏は記者会見を開き、自らの政治に関する構想を語る予定だ。27日の出馬表明を計画しているが、事務上の問題で多少遅れる可能性もあるという。

ユン氏は、検察総長辞任に当って3月4日、すでに次のような声明を発表していた。

「この国を支えてきた憲法精神と法治システムが破壊されている。その被害はそのまま国民に返る。私はこの社会が苦労して積み上げた正義と常識が崩れるのをこれ以上見ていることはできない。今までやってきたのと同様に、今後もどんな位置にいても自由民主主義を守り、国民を保護するために力を尽くす」

これは、文政権が憲法と法治システムを破壊しているという厳しい批判である。進歩派を名乗る現政権にとっては、政権を根底から揺るがすような言葉である。文政権は、朴大統領の弾劾という異常事態を受けて生まれた政権だ。その政権が、正義と常識を破壊していると糾弾されたのは、文政権にとって死亡宣告に等しい衝撃のはずである。

改革意欲を失った与党の堕落

与党「共に民主党」は、二大市長選に破れても改革の具体的な動きが見られない。同党のイ・ドンハク青年最高委員は、「我が党は『コンデ党』(コンデ:説教調で一方的な人を指す俗語)と自嘲するように、単なる相手陣営を非難する党に堕落していると自己批判するほど。現在は、冒頭に記したように「反日発言」で気勢を上げているところだ。

世論調査会社リアルメーターが、6月7日から11日まで全国満18歳以上の有権者2,512人を対象に調査を実施した結果、最大野党「国民の力」の支持率は前回の調査より1.1ポイント上昇した39.1%となった。一方、与党「共に民主党」は0.5ポイント下落の29.2%だ。この差は、9.9ポイントも開いて逆転されている。

4月の二大市長選で与党候補が大敗をきっかけに、1年生議員が集会を開き、党刷新の声を上げた。その後の動向は、さっぱり聞かれず尻つぼみに終わった。1年生議員は、与党内の文大統領をめぐる「親文派」(文大統領支持派)と「反文派」(文大統領反対派)の対立が大きく、こういう無益な党内対立を一掃しようという声を上げた。だが、とたんに「親文派」からメール攻撃を受けてせっかくの党内改革も沙汰止みである。

与党では、大統領選で3人の候補者が名乗り出ている。元首相2人と現役の知事。新たにユン氏を追い出そうと先頭に立った秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官が6月23日午後、次期大統領選への出馬を表明する。秋氏が20日、自身のフェイスブックで明らかにした。秋氏は、「親文派」の中でも強硬派である。与党議員の間には支持者はいないとされるが、「親文派」党員の間では高い支持率を得ているという。

仮に、秋氏が与党代表の大統領候補になるとすれば、「ユン vs 秋」の対立が再び大統領選で演じられることになる。

国民が、どのように判断するか。それは、文大統領をめぐる評価にも繋がる「戦い」である。

Next: 20〜30代の支持が急拡大。ユン氏の選挙戦略は?

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