期待感は先行するも、まだまだ手厚い給付金の上乗せは継続中
それでは雇用関連指標と雇用統計の事前予想値を確認していきましょう。
民間企業であるADP社の雇用報告や、ISM(全米供給管理協会)の発表した製造業の雇用指数などは前回よりも弱い数字となっていますが、新規失業保険の申請件数などは順調に低下傾向にあるため、そこそこの数字が期待されています。比較的堅調な雇用統計の数字が示されていることで、期待感先行気味であることは否めないでしょう。
ただし、FRBがテーパリングを急ぐような結果というのは、非農業部門雇用者数が+100万人を超えるなど、回復ペースの加速が必須でしょうから、ドル高に結びつくようなハードルはそれなりに高そうです。
また、ノイズ要因として、英国を中心とした欧州などでデルタ株の感染拡大が続いていることから、観光地の完全復活にはなりにくい、海外の経済活動再開の遅れが足を引っ張る可能性が指摘されています。
もっとも、米国の求人件数は過去最高を更新し続けていますから、どちらかというと雇用のミスマッチが本質的な要因であり、企業は労働力の確保に苦心しているというのが現実です。
今回は6月12日を含む調査週の雇用統計が発表されるわけですが、まだこの時点でコロナによる失業保険の特別給付も打ち切られていないことを踏まえると、労働意欲が十分に高まらず、横ばい気味、予想並の数字になる可能性が一番高そうです。