日本が韓国への輸出管理措置(いわゆるホワイト国除外)を行ってから2年、文在寅大統領が目指した「脱日本」は頓挫している。道半ばで止まっている韓国の現状をお伝えしたい。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2021年7月4日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
韓国への輸出管理措置から2年、日本は「継続」の意向
韓国への輸出管理措置から2年経過して、日本の加藤勝信官房長官は「輸出管理措置の見直しはない。そのまま継続する」と述べた。
これは、WTOへの提訴・慰安婦問題・徴用工問題などの韓国側の対応が原因であると説明。加藤氏は、韓国への輸出管理は安全保障の観点から実施しているとして、「韓国側の輸出管理の状況などを総合的に評価し、実効性を見極めながら運用していくのが基本的な考え方だ」と発言した。
いろいろと理由を述べているが、結論は何も変わらない。輸出管理措置はこれからも続くということだ。WTOへの提訴もあるので、何らかの動きが出ない限りは、見直す考えはないということだろう。
では、輸出管理措置から2年が経過して、韓国の「脱日本化」は進んだのだろうか? 答えはNOで、まだまだ大きく依存している。
韓国の「脱日本化」は道半ば
これについては、なぜか中国メディアが関心を持っており、その分析した記事を参考にする。
韓国の「脱日本化」で最も重要なのは「半導体」産業である。2021年1-5月の韓国の対日貿易赤字額は前年同期比で30%以上、合計で100億ドルとなった。
前年2020年の対日貿易赤字が減っていたのは、コロナ禍の影響であったということ。つまり、コロナ禍から輸出が持ち直せば、半導体設備や材料の輸入が増加する。
この時点で、「脱日本」「日本に依存しない」なんてことはまるっきり嘘だとわかる。
気になるのが、日本企業から半導体材料の調達が困難になった韓国企業が、中国企業から素材を調達する動きがあり、韓国の半導体サプライチェーンに食い込むことに成功したとの報道だ。これは恐らく「フッ化水素」などの輸入だと思われる。
日本から韓国へのフッ化水素の輸出は、1年前に確認したときには減っていた。しかし、世界的には半導体需要は増加しているので、代わりに中国から仕入れるようになったようだ。
もっとも、中国から輸入したフッ化水素も、元をたどれば日本に行き着くので、迂回貿易というやつだ。
日本は行方を説明していないフッ化水素などの半導体素材は、韓国への輸出を厳しく制限している。だとしたら、韓国は日本だけではなく、中国にも半導体事業の「生命線」を握られていることになる。
脱日本を成し遂げても「中国の韓国支配」が進むだけ
脱日本化して中国依存が増加すればするほど、中国の韓国支配が進む。結局、他国に依存しないとまともな産業がないという、韓国の脆弱性が露呈した。
日本側からすれば、韓国が自ら選んだことなので、輸出管理措置を見直すことなどあり得ないだろう。徴用工問題・慰安婦問題で喧嘩を売ってきたのは韓国である。3年間、経済産業省の協議に応じなかったのも韓国。行方不明のフッ化水素をどこにやったのかも答えない。
すべては因果応報である。日韓関係が凍り付きようが、日本が譲歩する理由はまったくないので、放置しておけばいい。少なくとも次の韓国の大統領が決まるまでは。
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