ADP雇用報告が衝撃の下振れ
上記は先んじて発表された雇用指標の比較です。前回から改善したかのようにも見えますが、失業保険申請件数以外は大きな改善は見られません。
むしろ、ADP社が発表した雇用報告は2ヶ月続けて予想から大きく下振れしています。前回7月分は予想+69.5万人に対し、結果は+33.0万人。今回8月分は予想+61.3万人に対し、+37.4万人でした。
ADPは感染拡大によって新規雇用に陰りが出ているとしていますから、今回の雇用統計に影響する可能性は高いでしょう。
もっとも、ADP雇用報告と雇用統計には大きな乖離があり、一部では前回の乖離については季節調整がうまくいっていないのではないか、といった指摘がありました。
平年であれば、サマーシーズン(夏休み)に入ると、教育関係者などを中心に雇用が失われるのですが、今年はコロナで休校が続いた分、サマースクールに通わせる数が増えており、雇用が維持されて数字上は実態よりも強い結果になったとのこと。
こういった季節調整要因が正常に働いていないとすれば、今回も同様の傾向でADP雇用報告との乖離が見られるかもしれませんから、必ずしも弱い数字になるとは限らない点に注意です。
もっとも、ADP雇用報告との乖離が大きい、相関性が低いとは言っても、感染状況を踏まえれば雇用への影響は避けられないわけで、カンカンの強気で臨むというイベントでもないでしょう。意識としては中立か、やや弱気。
ドル円の下値余地は小さそうで、まずは強気にロング!
今回8月分の非農業部門雇用者数の予想値は+75.0万人増となっています。
5月が+55.9万人、6月が+85.0万人、そして前回7月分が+94.3万人だったことから、予想並みの+70~80万人増といった数字になれば、コロナの拡大が続いていても、かなり力強い雇用の回復トレンドが維持されているという判断でテーパーを織り込み、ドル高になる可能性が高いでしょう。
逆に+50~60万人となると、次回の数字をもう一度確認してからといった雰囲気でドルは横ばいか、予想を下回ったことで瞬間的にはドル安に傾くでしょう。
+50万人すら下回ってしまうようなら、トレンド的には回復が完全にピークアウトしつつあるということで、テーパー意識は後退、もう一段のドル安というイベントになりそうです。
ドル円は非常に悩ましい、レンジでの値動きをずっと続けています。
今回はあまり強い結果は期待できないように感じますが、ドル安でもテーパー後退なら、株高の円安である程度は支えられますからね。
今週はドル安が進んでいることも踏まえると、仮に弱い結果が出ても下値余地はそこまで大きくなさそうなので、多少なりとも強い結果を期待するのであれば、発表直後によほどの株安にならない限りは、ドル円はロングで勝負したいところでしょう。