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“恒大集団破産”は悲劇の序章。富裕層を粛清する習近平「共同富裕論」が中国住宅バブル大崩壊をまねく当然の理由=勝又壽良

「共同富裕論」は習近平が突然に言い出したアドバルーン

習氏による「共同富裕論」は、習指導部発足後の最初の8年間、散発的にみられただけである。それが、昨年からより頻繁に言及されるようになり、そのペースに弾みがついている。習主席は昨年の演説と会合で共同富裕に30回触れたが、今年はこれまでに既に65回も言及している。これは、『ブルームバーグ』の調査によって判明した。

2012年以来、現在までの「共同富裕論」言及回数は次のようだ。

2012年:5回
2013年:5回
2014年:9回
2015年:10回
2016年:16回
2017年:12回
2018年:10回
2019年:6回
2020年:30回
2021年:65回
(出所:『ブルームバーグ』2021年8月23日付)

前記の「共同富裕論」への言及状況を見ると、昨年以降に急増していることが分かる。それ以前の習氏は、それほど関心を持っていなかったことを示している。逆に言えば、中国経済が深刻な状態に陥っているとの認識は昨年からなのだ。

習氏を危機感に向かわせたのは、不動産バブルが限界を超えたという結果であろう。要約すれば、次の3点である。

1)住宅ローンが、家計を圧迫して個人消費支出は落込む危険性を高めていること。
2)不動産開発企業が、過剰債務を抱えて返済不可能な事態であること。
3)地方財政が、土地売却益低下で維持が不可能になってきたこと。

以上の点について、私は一貫して不動産バブルの危険性を指摘してきた。

それは、日本経済のバブル崩壊をジャーナリストとしての目で観察した経験に基づくものだ。日本のバブルと中国のバブルでは、質的にどちらが「悪質」か、と言えば不動産バブルの期間の長かった中国が、はるかに危機的である。地方財政を巻き込んでいるのだ。

中国では、土地売却益が地方政府の主要財源になっていたのだ。税制が未整備であったことが、安易な土地売却益依存=不動産バブル依存、という事態を招いた。

これから急速化する高齢社会=社会保障費増加の財源をどこから捻出するのか。調達できる見通しはないのだ。増大する軍事費とのバランスも取れるはずがない。

早晩、習近平氏の責任が問われる事態になろう。

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