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中国仮想通貨“禁止”に慌てたのは少数派。発表後も『金持ち父さん』キヨサキ氏が買い推奨する理由=高島康司

中国当局による暗号資産「規制」の歴史

ちなみに、以下がこれまで実施されてきた中国政府の主な規制である。

<2013年のビットコイン禁止>

2013年、「中国人民銀行」は中国の金融機関がビットコインの取引を処理することを禁止し、仮想通貨は「本当の意味がない」通貨と呼んだ。このとき、このニュースでビットコイン価格は1000ドル以下に急落を引き起こした。その後、ビットコインの価格は数週間で回復した。

<2014年の暗号資産「禁止」のフェイクニュース>

3月、中国の「ウェイボー」のウェブサイトで「中国人民銀行」が国内のすべてのビットコイン取引をストップさせるというニュースが現れた。このニュースは後にフェイクニュースであることが判明したが、ビットコインが急落するのを止めることができなかった。

また、ほぼ同時期、中国に拠点を置く取引所「FXBTC」が当局からの圧力を受け、事業を停止すると通知した。この2つのニュースを受けて、ビットコイン価格は709ドルから346ドルまで急落した。しかし価格は短期間で回復し、5月の終わりまでに600ドル台にまで上昇した。

<2017年、中国政府は取引所を禁止>

9月、中国政府は国内のユーザーにサービスを提供する取引所を正式に禁止した。また中国国民がイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に資金提供することは認められないと発表した。ビットコインは当時4,000ドルだった。しかし、その3ヶ月後には2万ドルの最高値にまで上昇した。

中国の大手取引所だった「BTCC」が事業停止を発表し、「中国人民銀行」の副総裁が「ビットコインの死体」が川に浮かぶことになるだろうと発言したが、ビットコインは史上最大の強気相場の1つへと移行していた。

この時点で仮想通貨は既に上昇の動きを見せており、これらのイベントはわずかな落ち込みに留まった。

<2018年、報道が危機もたらす>

2018年1月、中国人が主要な仮想通貨価格を暴落させた可能性があるというニュースが広まった。また、中国メディアは暗号資産マイニングを取り締まっているという報道も伝えられ、これを受けビットコイン価格は65%超下落し、6,825ドルに達した。

しかし、これは長く続かず、ビットコインの価格は月末までに1万1,000ドル以上に回復した。

<2019年のマイニング禁止>

「中国国家発展改革委員会」が国内でのマイニング禁止を検討していることが明らかになり、ビットコイン価格は4月にわずかに下落することになった。「中国人民銀行」はこの動きに続き、暗号資産取引は発見と同時に「直ちに処分」すると発表した。これにより価格は一時的な下落した。

<2020年の暗号資産の暴落>

11月、香港政府はマネーロンダリングの取り締まりの一環として、リテールの暗号資産取引を禁止する計画を発表した。しかし2020年は、ビットコインが3年ぶりに2万ドルを突破し、2020年末には3万ドルを超えて新たな史上最高値を記録した。

<2021年の相次ぐ規制>

中国の「全国インターネット金融協会」、「中国銀行協会」、「中国決済清算協会」は、2021年5月に暗号資産投資に対する警告を発表した。

6月、「中国人民銀行」は、中国の銀行とモバイル決済サービスプロバイダーに、暗号資産取引に関係するクライアントにサービスを提供しないように命令。その後、中国当局は暗号資産禁止を発表し、これは中国国内のマイナーの大量流出につながった。

そして9月24日、「中国人民銀行」は、再び仮想通貨取引が違法であると宣言した。

さて、こうした経緯を見ると分かるが、2013年以来中国政府は暗号資産に対する規制を強めてきており、取引が全面禁止になることは時間の問題だとすでに見られていた。だから今回の「中国人民銀行」の発表は、市場に存在していた規定の認識を追認する出来事だった。すでに市場はそれを予測していたので、大きな反応もなかったということだ。

Next: 暗号資産の市場全体にたくさんの追い風が吹いている

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