Yahoo!とLINEの経営統合で生まれたZホールディングス<4689>は、メディア・コマース・フィンテックと3つの事業を展開しています。今回は統合後の実績がはっきり見える4〜6月期の決算から成長戦略を分析したいと思います。どのくらいシナジーの効果が出たのでしょうか?(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年10月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
決算の全体的な印象は?
私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、次の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
――(takayasu)皆さんこんにちは。今回は、メディア事業・コマース事業・フィンテック事業を展開するZ HOLDINGSの決算をシバタさんと一緒に読んでいきます。
――Z HOLDINGSは、Yahoo!とLINEの経営統合で生まれた企業です。今回の決算が経営統合後2回目の決算になりますが、前回の発表期間が1~3月期になるので、経営統合後のみの実績という意味では、一番最初の決算になるかと思います。
――まずは全体の連結での実績を見ていきましょう。
――連結での売上は約3,733億円、前期比では約+12%、YoYで見ても+36%になっています。EBITDAで見ると、863億円で前期比+35%とかなり好調に推移しているようです。
――経営統合に伴い、LINEとYahoo!の旧セグメントは、今回のタイミングで大きく3つに再構成されています。
――まず1つ目は、Yahoo!とLINEの広告収益を中心としたメディア事業、2つ目にYahoo!ショッピングなどを中心としたコマース事業、3つ目に近年投資を続けているPayPayを始めとする戦略事業の3つに分かれています。
――この後各セグメント別に詳細を見ていきたいと思いますが、まず今回の全体の印象を教えて下さい。
(シバタ ナオキ)売上が前年同期比+36.3%ということで、連結の効果があるとはいえ、強烈な数字が出てきたように感じます。
単純に今回の理由をM&Aや合併のディールと思うと、決算的には非常に大きなプラスなのではないでしょうか。
旧Yahoo!のところだけを見ると、売上が前年同期比+10%くらいのはずです。もともと1桁成長や10%成長くらいだった会社が、LINEを取り込むことで一気にジャンプアップした、というのが私の見方です。