普通の人はこの殺伐とした世界に耐えられなくなっていく
立場や意見や主張の異なる人間を一箇所にぐちゃぐちゃに押し込んだのがSNSだが、この世界を支配したFacebookやTwitterは人々を共生させようと思っていた。これこそインターネットでの「多文化共生」である。
しかし、この多文化の共生はできなかった。失敗した。
そこでは暴言と批判と中傷が吹き荒れる荒んだ世界が誕生して、人々は言葉の暴力に苦しめられるようになったのである。すでに今、SNSの世界は荒れ果て、検閲・凍結・排除の嵐となっている。
SNSが対立と衝突だらけとなって検閲や凍結が横行するようになっていくと、普通の人はこの殺伐とした世界に耐えられなくなって去っていく。
最後には闘争的な人間や、荒廃した世界が好きな人間や、アンダーグラウンドの人間ばかりが残って濃い世界となって縮小する。
Metaは写真SNSの「Instagram」も運営しているが、このInstagramにしても元従業員に「若者の心理的な悪影響を把握していながら利益優先で公表しなかった」と痛烈に批判されて告発されている。どういうことか。
「同社のアルゴリズムの変更で、怒りや分断をあおる内容が拡散しやすくなり、子どもたちの安全も脅かしている」というのである。
さらにSNSというプラットフォームは、「適切な広告」を出すためにユーザーの個人情報を徹底的に収集してプライベートまでのぞき込んでいる。プラットフォームは無料だが、自分のプライバシーまでのぞかれてすべての情報を吸い上げられて気分の良い人はいない。
SNSは全方面で批判の嵐と化している。上層部はもうこのような混乱《カオス》に匙を投げている。だから静かに撤退しているのだ。
Next: どんなプラットフォームにも終わりはある