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なぜか定期浮上する「塩化ナトリウムが入ってない塩」ネタ。水素水やテスラ缶にハマる“科学リテラシー弱者”への警鐘か?

この数年、SNS上で定期的にバズっている感がある「塩化ナトリウムが入ってない塩」だが、最近もその話題が大いに取沙汰されているようだ。

22日昼時点で3万件近くのいいねを付けているツイートの発信者は、『図解アリエナイ理科ノ教科書』シリーズなどの著作で知られる科学者のくられさん。

言うまでもないが、塩化ナトリウムとはナトリウムの塩化物のことで、一般的に塩(しお)や食塩とも呼ばれるもの。改まって“塩化ナトリウム”というワードを聞くと、理系の勉強に弱い方のなかには「……何らかの薬品?」と思う向きも、もしかすると存在するかもしれないが、要は“塩化ナトリウム=塩”である。

ネタ元は過去にあった“手作り目薬の作り方”

人によって科学知識の差は様々とはいえ、“塩化ナトリウム=塩”程度のことは小学生で習うような事柄ということもあり、いっぱしの大人なら誰もが知っているのが当然といえば当然。

にもかかわらず、なぜ今回のように「塩化ナトリウムが入ってない塩」というワードが度々バズるのかというと、過去にそのことがあやふやな人物による“手作り目薬”の作り方を紹介したブログ記事が、大炎上するという事案が数年前にあったからだ。

掲載されていたのは、サンケイリビング新聞社が運営する『あんふぁんWeb』というサイトで、市販の目薬に入っている防腐剤を避けるため、目薬を自作しようという趣旨の記事。ところが、その材料として紹介されていたのが“煮沸消毒した容器”と“ミネラルウォーターやウォーターサーバーなど塩素入りの水道水ではない水”、そして「塩化ナトリウムが入ってない塩」だったのだ。

ネットでの騒ぎを受けて当該記事は削除され、掲載していたサンケイリビング新聞社も「誤った内容があったと判断した」「ご迷惑をおかけしました」と謝罪する事態に。このように、よくある炎上案件といえばそれまでだが、やはり「塩化ナトリウムが入ってない塩」というワードのインパクトもあり、今回のように多くの人に思い出されてしまうのであろう。

定期的な浮上は“トンデモ科学”への警鐘か?

そのいっぽうで、今回の件が度々蒸し返されるのは、いわゆる“トンデモ科学”“エセ科学”などを根拠にした怪しげな健康療法やアイテムなどにハマってしまう人々が、この令和の世でも後を絶たないという状況に警鐘を鳴らすためのものではないかという見方も存在するようだ。

例えば、その手のアイテムとしてここ10年ぐらいのいわばトレンドとなっているのが、なんといっても「水素水」。“体にいい”“健康に効果がある”などとテレビやネット広告などで取り上げられた水素水だが、その謳われる効能が疑わしいものであることは、国民生活センターも指摘しているほか、それこそ先述のくられさんなども以前よりしきりに訴えている。にもかかわらず、いま現在においても一部の間では持て囃されているといった状況だ。

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さらに、最近大いに話題となったのが「テスラ缶」と呼ばれる代物。見た目は単なる黄金色の缶だが、これをベッドの下に置いて寝るだけで「歯が再生する」「若返る」「病気が治る」「よく眠れる」などの効能が謳われ、なんと1個250万円で取引されているのだとか。「缶を開けると効果がなくなる」という点など、いかにも怪しげといった感じだが、それでも一部の界隈では大人気となっているようだ。

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このように、科学的な裏づけが無い“いかがわしいもの”が、手を変え品を変え出現しては、それにハマる人々が少なからず出てくるということが繰り返されるという現状。そんな状況を少しでも改善せんがため、「塩化ナトリウムが入ってない塩」というある種のネタ話が定期的に浮上し、最低限の科学知識ぐらい身に付けないと末代まで笑われるどころか、身を滅ぼすことにも繋がりかねないと自戒・自省を促している。……そんな見方までもが広がっているわけだが、今もなお科学的根拠のない怪しげなアイテム等に、多くの人が飛びつく様を見るに、その効果は残念ながら薄いものと言わざる得なさそうだ。

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