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FIREを夢見るレバナス民が虫の息。最低限の資産「6250万円」に届かぬ若者たちがレバレッジをかけて人生滑落=鈴木傾城

とにかく一刻も早く資産を作って一刻も早くリタイアするという焦り

780万円の「2倍3回転」で「FIREの最低限6,250万円」になると言っても、FXや仮想通貨でそれを実現できた若者は少なかった。

しかし、FIREを目指すのであれば、とにかく投資で一刻も早く増やさなければならない。

そこで、彼らが次に目を付けたのが「レバナス」であった。レバナスとは「レバレッジをかけたNASDAQ市場の指数」であり、【iFreeレバレッジ NASDAQ100】や【楽天レバレッジ NASDAQ-100】などの商品がある。

いずれも「2倍」のレバレッジがかかっている。

そうなのだ。彼らは今度はレバナスで780万円の「2倍3回転」をやってFIREを実現しようと考えたのである。実際、2020年4月からNASDAQ100を指数化したETF【QQQ】は1年で2倍以上も暴騰していた。

そこで、「レバナスをガチホ(ガチでホールド)していればいい!」という人たちが出現し、彼らが「レバナス民」と言われるようになった。「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)はすごい。だからレバナスをガチホしていたらFIREを実現できる」というわけである。FIREを夢見たレバナス民が2021年に大量に出現した。

2020年ではなく2021年にその現象に気づいたとしても、2021年初頭は320ドル台だった【QQQ】は、年末には400ドル台を超えたのだ。率にすると25%の上昇である。レバナスはこれの2倍なので、2021年はレバナスをガチホしていると50%の利益を取れたことになる。

ところが、である。2022年に入って突如として様相がおかしくなった。

2020年のコロナショック時による金融緩和の弊害でインフレが発生し、そこに原油・資源の上昇や、ウクライナを巡るロシアとNATOの対立激化が重なって相場が荒れたのである。さらに、これから利上げも待っている。通常、利上げは株式市場にマイナスである。

そのため、レバナス民が強烈な打撃を受けることになる。

レバレッジは数倍の早さで資産を増やすことができるツールなのだが、逆に言えば数倍の早さで資産が吹き飛ぶリスクを抱える。

FIREを夢見たレバナス民は、「とにかく一刻も早く資産を作って一刻も早くリタイアする」という焦りがあるので、レバレッジの誘惑に勝てない傾向が垣間見える。

FXで資金を吹き飛ばし、仮想通貨で資金を吹き飛ばし、今度はレバナスで資金を吹き飛ばすFIREを夢見る若者たちの姿は無残だが、それでも彼らはすがる思いで、FIREの実現を目指すのだろう。

Next: 一刻も早く楽になりたい。「机上の計算」でレバレッジに手を出すと…

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