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「戦争の止め方」はあるか?想定外だらけで迷走するプーチンに残された3つのシナリオ=澤田聖陽

「ウクライナ侵攻は起こらない」というのが専門家の見方であったが、まさかのことが起きてしまった。ついに戦争状態となったが、ロシアにとっても想定外の事態が次々と発生している。ここから起こりうる3つのシナリオについて解説したい。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年3月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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想定外のロシア苦戦

ロシアによる「ウクライナ侵攻」が始まってしまった。

専門家の見方としては、プーチン大統領はウクライナに圧力をかけ続けるが侵攻まではしない、もしくは東部ドネツク、ルガンスク両州への侵攻・制圧はあったとしても、全面侵攻まではしない……という意見が多かったように思う。

筆者もそのように考えていたが、予想に反して全面侵攻という結果となってしまった。

なぜプーチン大統領がウクライナに拘るかは、前回のメルマガでも解説した。彼自身のトラウマというか、恐れから発していると考えている。

国際社会(特に西欧諸国)では、プーチン大統領は覇権主義者であると見られているが、実は自身が絶対権力者である現体制が崩壊することに過剰に怯えている、哀れな独裁者に見える。

今回の軍事侵攻はどんな理由があっても絶対に許されるものではないのだが、なぜプーチン大統領がこのような過激とも思える行動に出たのかという検証は必要であると考える。

ロシアは2月24日に軍事侵攻に踏み切ったが、当初予想されていたスピードよりも遅れており、ロシア側が苦戦しているという報道がされている。

当初首都キエフは2日以内に制圧されるという見方であったが、2月24日の侵攻から7日経過した3月2日現在でもキエフは陥落していない。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、首都キエフに留まり抵抗していると言われている。これはロシアとしては想定外だろう。

ロシアは今回の侵攻で1日約150億ドルの戦費を使っていると言われ、もともと長期戦を想定していなかったようであり、早々に戦費が底をつく可能性がある。

さらに、ロシアにはもう1点、想定外があったと考える。

「SWIFT排除」も想定外

国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークからロシアの一部銀行を排除する決定がされたことである。

SWIFTからの排除は、「金融の核兵器」とも言われ、排除されてしまえばロシアにとってはかなりの経済的ダメージになると言われている(SWIFTからの排除が決定されれば、ロシアのGDPを5%程度押し下げるという試算もあるようである)。

おそらくロシアは、ドイツなどが反対してSWIFTからの排除までは踏み込んでは来ないだろうと考えていたのではないかと思う(ワーストケースとしてはあると考えていたかもしれないが、ワーストケースにはなる可能性が限りなく低いと目論んでいたと思う)。

米国は当初からSWIFTからの排除も考えていたようだが、ロシアの天然ガスへのエネルギー依存度が高いドイツなどの反対によってSWIFTからのは排除はまとまらないだろうとロシアは考えていたのではないか。

たしかに当初ドイツはSWIFTからの排除に否定的だったが、ロシアのあまりの蛮行にドイツも最終的に賛成せざるを得なくなったということかと思う。

金融市場では先んじてSWIFT排除の影響を織り込みにいっており、SWIFT排除のニュースが出た週明けの取引で、ロシアルーブルは対ドルに対して30%超下落した。

すでにロシア国内では「取り付け騒ぎ」が起こっていると報道されている。

SWIFTの排除が決定どおり実行されれば、ロシア経済は壊滅的な痛手を負追うだろうし、問題が長期化すれば、ロシアは国家としてデフォルトに陥る可能性が高い。

一方、ドイツなどはロシアの天然ガスへのエネルギー依存度が高いため、制裁を決めた側も長期化すれば大きな経済的痛手を負う可能性がある。

Next: 停戦交渉は決裂か。考えられる3つのシナリオ

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