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2022年の中国経済は「冬の時代」へ。元証券会社社長が分析、世界規模の経済危機を招く虚飾崩壊と習近平“第二文革”に警戒せよ=澤田聖陽

中国の2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は4.9%と低い数値となった。低成長時代に入っていた中国経済が、コロナ禍でより一層厳しい状況に陥ったというのが実態だろう。2022年の中国の経済動向はどうなるのか、見通しを述べたい。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年1月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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2022年、中国経済「終わりの始まり」

中国経済が厳しい状況に直面している。

2022年の中国の経済動向はどうなるのか、筆者による見通しを述べていきたい。

中国の2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は4.9%と低い数値となった。

中国国家統計局は、国際商品価格の上昇、国内の一部地域における新型コロナウイルス感染や洪水など多方面の影響があったと説明している。

また第4四半期についても、中国マクロ経済フォーラム(CMF)という中国人民大学系のシンクタンクによると、前年同期比3.9%成長と、第3四半期よりも成長鈍化すると予測されている。

筆者は国家統計局が説明するような一時的な現象ではなく、すでにコロナ禍前から中国経済は長い低成長時代に突入していると考えている。

低成長時代に入っていた中国経済が、コロナ禍でより一層厳しい状況に陥っているというのが真実ではないか。

中国のGDP数値の虚実

2018年に中国マクロ経済学者で、人民大学国際通貨研究所理事兼副所長の向松祚(コウ ショウソ)氏が、国内総生産(GDP)の成長率6.5%という政府発表数字に対して、同氏が入手した内部資料では、2018年の中国GDP成長率はわずか1.67%になるとした内容の発表をしたことがある。

中国国家統計局が発表する数字は水増しされており、信頼性が低いことは以前から多方面で言われてきた。

向氏の発表した数値が真実かどうかは検証する余地がないのだが、立場上全く根拠のない話をしているとも思えず、ずっと以前から中国政府発表の数値の怪しさが多方面で言われてきたことから推察すると、一定の説得力はあるのではないかと考える。

筆者も中国のGDP数値と貿易統計を四半期ごとに見続けているのだが、GDP成長率の推移と貿易統計の数字の辻褄が統計的観点から合わない部分が存在する。

中国経済が低成長時代に移行していくターニングポイントとなったのは、おそらく2015~2016年ではないかと考えている。

2015年は株価暴落によって「チャイナショック」発生した年である。

GDP成長率は2015年が6.9%、2016年が6.7%となっている。

一方、2015年の輸入の伸び率はマイナス13.2%、2016年はマイナス5.5%となっている。

嘉悦大学の高橋教授は自著の中で経済成長率と輸入の伸びの相関関係は極めて高いということを述べられているが、その論から言えば、このGDP成長率と輸入額が反比例している現象は怪しいと言える。(この高橋氏の理論に対ししては、一部で統計手法の変更等があったという反論もある)

個人的には中国政府が発表する数字に粉飾はあると考えているし、政府発表の数値はかなり水増しされているとは思う。

それ以外の要素として、この時期に天文学的な額の固定資産投資によるGDPの底上げ行われた。

2008年のリーマンショックから2018年までの10年間に、地方政府や国有企業、民間企業が合計約410兆元(7,000兆円)の固定資産投資を行ったとされている。

この固定資産投資の資金の多くは借金によって賄われている。

現在破綻の危機にある中国恒大集団もこの時期に不動産購入やM&Aによって、事業を急拡大している。

日本もバブル期に同じような状況を経験しているが、投資や固定資産取引による事業拡大は、ファイナンス環境が悪化し保有するアセットが下落に転じると、一気に収縮する。

その後に発生するのは長期の「バランスシート不況」である。

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