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韓国はユン大統領で「更生」できるか?壊れた日韓関係ほか文政権の“負の遺産”山積、少数与党で難儀確実=勝又壽良

ユン氏が始めた外交関係の立て直し

5月10日に発足する保守派のユン政権は、韓国の歪んだ外交路線の立直しから始まる。

大統領選挙翌日の3月10日、米国のバイデン大統領と電話会談を行なった、翌11日には、岸田首相との電話会談に臨んだ。14日には、3番目の外国首脳として英国のジョンソン首相と電話会談を行なった。さらに、豪州のモリス首相、インドのモディ首相とも電話会談を行う方向で調整中という(※編注:原稿執筆時点2022年3月17日)。

韓国は、朴槿惠大統領以降に、「外交4強」として米国、中国、日本、ロシアを別格扱いしてきた。初電話会談もこの順序となり、日本は3番手に置かれた。それ以前は、米国・日本という順序であった。韓国は、「反日」姿勢を前面に出して、日本を敢えて中国の次にして「反日」を見せつけたのだ。

それが今回は、米国・日本・英国の順序となった。さらに、豪州・インドが続けば、韓国外交の流から「中国・ロシア」を外したことを意味する。大きな外交路線の転換だ。

豪州とインドは、米国や日本と共に中国をけん制する「クアッド」のメンバー国である。文政権は、米国から度重なる「クアッド」参加を呼びかけられたが断ってきた。韓国大統領府の説明では、「クアッド入りについて一度も参加を求められなかった」と虚言を弄してきた。実際は、断ってきたのだ。米国側の証言で、それが明らかになっている。断った理由は、中国の目が怖いという「中国恐怖症」の結果である。

文政権の民族主義思潮が、中国とロシアの独裁者に親近感を持っていることで明らかなように、中ロの協力で南北統一を進めたいという思惑に基づいていた。だが、中ロは南北統一で北朝鮮へ圧力を掛けたこともなく、韓国の「一人芝居」にすぎなかった。

こうして、米国との関係を疎遠にさせる事態を生んだ。文政権の視野の狭さを指摘するほかない。学生並の外交感覚であったのだ。

クワッド参加を視野に入れる

ユン次期大統領は、文政権が忌避してきた「クアッド」参加を見据えている。

事実、クアッドへ段階的に参加する方針を検討していることが明らかになった。文政権の説明では、韓国がクアッドの下にある、ワクチン・気候変動・先端技術のワーキンググループへ参加している。次期政権は、このワーキンググループでの活動で確実に成果を上げることを目指す。これによって、関連各国との接触範囲を広げて、「適切な時期に、クワッド正式参加の手続きを取る構想」というのだ。
※参考:【独自】尹錫悦次期大統領「クアッドへの段階的参加を推進…『外交通商部』の復活も検討」- 朝鮮日報(3月15日配信)

米国は今年1月、「クアッド」参加メンバー国を増やさないと宣言した経緯がある。文政権が、煮え切らない態度を取っていることに腹を立てた結果だ。

韓国を一度突き放した形であるが、いずれ時期を見て正式メンバーに受け入れるのであろう。

Next: クアッド入り「日本が反対」説も。文政権が壊した日韓関係

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