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韓国はユン大統領で「更生」できるか?壊れた日韓関係ほか文政権の“負の遺産”山積、少数与党で難儀確実=勝又壽良

日韓関係改善に傾かせたロシアのウクライナ侵攻

韓国新政権が、日韓関係改善に意欲を見せるのは、ロシアによるウクライナ侵略が刺激剤になっている。

韓国が、北朝鮮による再度の侵略を阻止するためには、日米韓3ヶ国が安保関係で一体化する必要がある。「反日」騒ぎが続いていると、韓国が安保危機に直面するという危機感が醸成されてきたからだ。

プーチン大統領は、ウクライナがロシアと同じ民族であるから統一するのが当然という、不合理極まりない理屈で侵略した。朝鮮戦争は、まさにこれと同じ理屈で、北朝鮮が韓国を侵略した戦争である。ウクライナ戦争が、「民族統一」を名目にした侵略戦争であり、時代を超えて起こることを証明した。中国は、同じ理屈で台湾併合を目指している。

文政権は、これに内々で賛成してきた。次期政権は、はっきりと拒絶の方向を見せている。

日本の米軍基地が支える韓国の安全保障

韓国は、安全保障面からも日本が不可欠な存在である。駐韓米軍の基地は、韓国国内ですべてその機能を満たしているのではない。日本に重要な米軍基地が存在しているのだ。

韓国の政治家や国民は、この重要な点についての認識がゼロである。気軽に「反日」に興じていられるのは、韓国の安全保障に日本の米軍基地が深く関わっている現実を知らないためだ。

韓国の安全保障は、日本の米軍基地によって支えられている。韓国次期政権は、この現実を熟知しているのだ。ユン氏の大統領選運動には、韓国国防部の元将官5人が加わった。そのほか、退役軍人1,600人がユン氏支援声明を発表したほどである。

韓国の国防体制は、文政権によって骨抜きにされた。この危機的状況を立て直すには、日米韓3カ国の安保協力体制が不可欠である。

次期政権に過去の残滓が重圧

文政権は、韓国の安全保障体制を脆弱化させただけでない。経済面でも著しい弱体化をもたらした。政権の基盤が、民族主義であることから分かるように、合理的価値判断に基づく政策選択でなかった。「情実」=「陣営論理」であり、支持基盤に対して利益になる政策を優先した。

最低賃金の大幅引き上げは、生産性をはるかに上回るものであった。「貴族労組」と言われる財閥企業労組の要求に添ったものである。この結果、生産性上昇率の低い自営業・零細企業・中小企業は、賃上げに耐えられず労働者の首切りに走った。韓国では、最賃引き上げに満たない経営者に刑罰が加えられる制度になっている。最賃大幅引き上げが、失業者を急増させるというアベコベの事態を招いた。

原発の廃止も市民団体の利益を図るためだった。太陽光発電を手がける市民団体へ、手厚い補助金を支給して、無理矢理に原発を止める決定をした。脱原発によって不足するエネルギーは、中ロから輸入すると発表していたのだ。

ところが大問題が起こった。欧州が、ウクライナ戦争で一斉にロシアへのエネルギー依存低下を迫られる事態を迎えた。文政権も、これに驚き「脱原発」方針を転換させたのだ。

脱原発方針で、韓国電力は大赤字に見舞われている。韓国の教育研究機関も大きな混乱に陥った。大学院生の就職先がなくなる外に、新たな学生もいなくなるという事態になった。国内ではこういう混乱を引き起こしながら、原発の輸出は続けるというダブルスタンダードを強行した。

Next: 文政権が犯した外交・内政の失策を修正できるか?

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