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韓国はユン大統領で「更生」できるか?壊れた日韓関係ほか文政権の“負の遺産”山積、少数与党で難儀確実=勝又壽良

クアッド入り「日本が反対」説も

実は、日本が韓国の「クアッド」入りに反対したという説もある。

海上自衛隊哨戒機が、韓国海軍の軍艦からレーダー照射を受けた際(2018年12月)、韓国国防部(国防省)の見せた日本への誹謗中傷が、常識外れの妄言の繰り返しであった。海上自衛艦が、釜山入港の際に「旭日旗を取り外せ」(2018年10月)と信じ難い要求をしたこともある。自衛隊は、こういう非常識な韓国軍と、クアッドで共同歩調は取れないと断ったのであろう。

韓国次期大統領が、米国・英国・豪州・インドの首脳との電話会談を優先させている裏に、日本との仲介を依頼しているとも読める。前記4ヶ国は、いずれも日本と深い信頼関係にある。もともと、クアッド結成の旗振りは日本である。安倍首相(当時)が、個人的信頼関係を基盤にして4ヶ国が纏まった経緯がある。特に、「非同盟」を国是にするインドがクアッドに加わったのは、安倍氏との信頼関係が大きなテコになったという事情がある。

韓国は、この「日本サークル」とも言えるクアッドへ参加するには、肝心要の日本がどのような態度を取るかに掛かっている。前記の「レーダー照射」事件は、韓国によって曖昧にされ日本を悪者にしているほどだ。旭日旗問題もしかりである。

韓国は、しかるべき陳謝をして再発を約束しないかぎり、クアッドへ参加させるべきでない。ケジメが不可欠である。文政権は、単なる「反日」の域を超えて、安全保障問題にまでヒビを入れたのだ。

新政権は少数与党で難儀確実

韓国がクアッドへ参加するには、日本との関係改善が大前提になる。

冷えきった日韓関係をどのように改善させるのか。次期大統領は、「過去よりも未来志向」と言っている。大統領選でも、日韓関係改善を公約に掲げた。文政権のように「反日」を明確にし、それを国内政治に利用する「悪質」さはない。

その点で一歩前進だが、韓国議会で6割の議席を占めているのは、「反日」の進歩派である。

新政権を揺さぶるには、「反日」は格好のテーマである。となれば、次の総選挙が行なわれる2024年4月まで、日韓関係改善は不可能という見方もできる。それだけでない。新政権が選ぶ首相が、進歩派の反対に遭えば選任できないという厳しい政治状況であるのだ。

そこで首相には、現在の首相である金富謙(キム・ブギョム)氏を選任しようというアイデアさえ飛び交っている。今回の大統領選が「0.7ポイント差」であった以上、国民統合が第一テーマとなる。

現首相の続投という破格の人事が行なわれれば、進歩派も新政権へある程度の協力をするであろう。こういう形で「国民融合」が進めば、日韓関係改善への糸口が掴める可能性が出てくるという期待感である。

今年は、2002年サッカー日韓ワールドカップ20周年となる年だ。韓国では、日韓関係改善に意欲的な大統領が誕生したことをきっかけに、関係改善を進めたいという強い期待感がある。次期大統領も、日韓が頻繁に往来する「シャトル外交」を標榜している。日韓首脳が定期的に会談して意見交換する。そういう一見、平凡に見える交流の中で、相互理解が進むという目論見である。

Next: 日韓関係改善に傾かせたロシアのウクライナ侵攻

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