ソフトバンクG<9984>の4-6月期決算は最終赤字3兆1,627億円、四半期ベースでは過去最大の赤字幅となった。前の四半期と合わせると、6カ月で約5兆円の赤字を計上している。この結果に孫正義会長兼社長は「しっかりと反省し、戒めとして覚えておく。今日はわれわれの実態を赤裸々に語りたい」と語り猛省している。決算のポイントを解説するとともに、今後の展開を予想したい。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年8月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。
ソフトバンクグループ3.1兆円超の大赤字
ソフトバンクグループ(SBG)が8月8日に4~6月期決算を発表した。
売上高1兆5,720億円、純損益▲3兆1,627億円という結果であり、四半期ベースでは過去最大の赤字幅となった。
また1〜3月期も▲2兆1,006億円の赤字であったので、2四半期連続で大幅な赤字を計上することとなった。
<4〜6月期決算のポイントは?>
本メルマガでも過去に何度も記載させていただいているが、SBGは会計制度についてはIFRS(国際財務報告基準)を採用している。
IFRSでは投資有価証券(主に株式)の評価損益が、四半期決算の発表ごとに損益計算書(PL)に反映される。
SBGは投資会社であり、自己ポジション及びヴィジョン・ファンド(SVF)を通じて21.7兆円(6月末時価ベース)の上場株、未上場株等を保有しており、5%保有株式の価値が下がるだけでも、PLには兆円単位の赤字が計上されることになる。
ちなみにSBGが保有する株式は大きく上場株と未上場株に分けられるが、上場株は市場での株価の上げ下げによって評価額が上下するが、未上場株はSBGが監査法人と協議しながら、独自の評価手法によって時価評価している。
未上場株の時価評価については、以下の3つの方法によって算出されている。
1. 上場している類似業種の株価の動きと比較して時価を算定する(類似業種比較による評価)
2. 投資先の業績が投資時の事業計画通り進んでいない場合、評価減を実施する(投資先の業績による評価)
3. 投資先が直近で資金調達を行った場合、その増資の株価に評価替えする(新規資金調時株価での評価)
4~6月期では、(1)による評価替えが▲1兆436億円、(2)による評価替えが▲2,546億円、(3)による評価替えが▲166億円で、未上場の評価価値の減少が合計▲1.3兆円となっている(上場株の評価価値の減少は▲1.7兆円)。
SBGのような投資会社は、通常の企業のように四半期開示で、その期間の売上と損益を開示する形式にはなじまない部分がかなりあり、PLだけを見てもSBGの実態は分かりにくい。
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