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スタバが中国市場で大苦戦。巻き返し戦略で発表した3,000店の新規出店計画が無謀過ぎる理由=牧野武文

高級コーヒー店が続々と開店

さらに、北京、上海では、新興のカフェが大量に登場したこともスターバックスを追い詰めています。Manner、Seesaw、Peet’s、%Arabicaなどが代表例で、価格はスターバックスよりも高価格帯ですが、コーヒーの品質がきわめて高く、コーヒーそのものを楽しむカフェです。チェーンの規模を大きくすることは難しいものの、本格カフェが登場したことで、スターバックスの優位性が消えてしまいました。

味と空間がスターバックスの強みであったのが、味では本格カフェに負け、空間はコロナ禍により時代と会わなくなっています。スターバックスのコンセプトを修正しなければならない事態ですが、ここでもスターバックスは機敏に反応します。それが2025ビジョンの発表で、下沈市場に本格的な拡大をするということなのです。

ラッキンコーヒーについに抜かれる

ただし、このビジョンの実現は簡単ではありません。今回は、下沈市場のどこに難しさがあるのかをご紹介し、スターバックスの中国戦略がうまくいくのかどうかを考えます。

日本で最大のカフェチェーンはどこであるかご存知でしょうか。スターバックスで1,727店舗、すべての都道府県に出店しています。2位はドトールで1,067店舗。同じくすべての都道府県に出店しています。3位はコメダ珈琲の950店舗で、こちらもすべての都道府県に出店しています。日本で全都道府県に出店をしているカフェチェーンはこの3つです。

では、中国で最大のカフェチェーンはどこでしょうか。スターバックスではありません。ラッキンが7,195店舗で、中国最大のカフェチェーンになっています。スターバックスは2位で5,761店舗で2019年にラッキンに抜かれ、2位に転落をしました。

と言っても、ラッキンはモバイルオーダー中心のスタンド店が中心です。店舗の出店は容易で、スターバックスと同じ基準で比べることはできません。しかし、営業収入の点でも逆転が見えてきています。2022年第2四半期のスターバックスの営業収入は5.445億ドルで前年同期比で40%減という厳しいもののになりました。一方、ラッキンコーヒーは4.932億ドル、前年同期比72.4%増と急増しており、その差は0.5億ドル程度までに縮まっています。

この2022年にスターバックスの大きな失速をし、ラッキンが伸びていることから、早晩、営業収入の点でも逆転が起こると見られています。

スターバックスが2025ビジョンを打ち出したのは、この事実を意識してのことに違いありません。

Next: KFC(ケンタッキーフライドチキン)が中国全土で受け入れられた理由

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