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日本円は落ち目?「外貨預金」を検討する前に知っておきたい2つの損益計算方法=牧野寿和

日本円を米ドルなど外国の通貨に換えて預金することを「外貨預金」と言います。為替変動が激しくなっており、また将来的に円の価値が低下するとの予測も出ていることから、にわかに注目を集めています。今回は外貨預金をするときに考えるべき2つの損益計算方法と注意点を解説しましょう。(『 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

外貨預金は有効か?

外貨建ての年利5.0%・1年満期の定期預金に、日本円に換算して100万円を預けて1年後の満期に引き出したとします。

このとき、日本円に換算して105万円の手元に戻ってくる……とは限りません。さらには、日本円で120万円になることもあれば、元金を割って90万円になることもあります。

なぜ、そのようなことが起こるのでしょう?

今回は外貨建ての定期預金の基本と、2つの損益の計算方法についてお伝えします。この記事では税金については勘案していません。また小数点以下は切り捨てで計算します。

この記事の構成は次のとおりです。
・外貨預金で知っておくこと
・外貨預金の預入
・2つの収益の計算方法
・収益の確認

外貨預金で知っておくこと

外貨で定期預金をするとき、冒頭の例のように、預け入れる資金(元金)の保証はされません。

また、日本円で預金をしても、その国の通貨で運用していくために、たとえば、日本円と米国ドル間で「円高円安」「ドル安ドル高」といった為替のリスクがあります。

また、運用する国の景気がよく、通貨の価値が上がる。反対に、運用する国内外と紛争が起き、
その国の通貨の価値が下がる。といった地政学的なリスクもあります。

外貨預金を始めるときは、日本国内で日本円建て預金するのとは違うことを知ることが大切です。

外貨預金の預入

ここからは、より具体的に、Aさんがある銀行の「米国ドル建て、6ヵ月満期定期預金、年利息5.0%」に10,000米ドル預金すると仮定して説明していきましょう。

まず、Aさんは、この外貨定期預金を扱っている銀行に、10,000米ドル預金するには、日本円でいくら必要かを確認します。

外貨預金をするときは、預ける銀行ごとに、次の為替レートを定めています。

・TTS(預入時:Telegraphic Transfer Selling rate)
・TTB(満期時・引出時:Telegraphic Transfer Buying rate)
・TTM(店頭に表示される基準レート:Telegraphic Transfer Middle rate)

Aさんの確認した日の米国1ドルは、以下でした。
・TTS:124円
・TTB:126円
・TTM:125円

従って、Aさんは日本円で「124円 × 10,000米ドル = 124万円(1)」を用意することになります。

なお、銀行は、TTM・TTS・TTBの差を、顧客が外貨を購入また売却するときに「手数料」として顧客に請求します。

銀行からみて、TTSは円を売る、TTBは円を買うということです。銀行側が高く売って安く買うために、TTMが変動しても、常にTTSはTTBより高い金額になっています。

この手数料は銀行ごとに違います。また同じ銀行でも、キャンペーン商品と通常の商品では違う場合もあります。

Next: タイミングを間違えると大損……2つの損益計算方法とは?

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