シクリカル銘柄への投資を考える
では、シクリカル銘柄の「買い時」「売り時」について考えてみたいと思います。
もちろん、会社としての優劣や長期的な成長もありますが、長期的には業績や株価は上下するものです。
一方で、日本製鉄のような会社は”そうそう無くならないだろう”という面もあります。
ぜひ覚えていていただきたいことは、業績が悪い時に買うということです。
日本製鉄は度々赤字を計上していることは先ほど示しましたが、その時は当然株価も下がります。
日本製鉄が赤字ということは、世の中の製鉄会社もみんな赤字ということになります。
そういう時には生産調整を行うことになります。
供給量が減って、やがて需要が供給を上回って価格が上がっていけば利益が出て、株価も上がるということになります。
従って、業績が悪い時(PERが高い時)に投資することによって、やがて世の中が循環してまた利益が出るようになります。
逆に、業績が好調の時は供給量も増えて値崩れが起こり業績も下がりやすくなるので「売り時」ということになります。
日本製鉄は「売り時」か
私の見方としては、日本製鉄はすでに下落の兆候が見えているので、売りに転じてよいのではないかと思います。
その企業が継続的な企業であるならば、市況が悪い時に買って良い時に売るということが大原則となります。
株価が上がらなくても配当があればいいという考え方もあると思いますが、日本製鉄は今回の減配で明らかになったように、利益が減れば配当も減る会社です。
しかも装置産業なので、工場に投資するお金を手元に残しておく必要があり、配当を多く出し続けられる会社でもありません。
今は表面上は4.9%という高めの利回りとなっていますが、これをあてにするべきではありません。
業績がさらに悪化したり、今季はともかく来季以降はさらに少なくなっていく可能性があります。
業績が下がれば、株価も下がりやすく、配当も減りやすい、ということとなり、これから持っているメリットは見出せないように思います。
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2023年5月15日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。