国内で「ドナー登録者数」を増やす以外に解決の道はない
では、どうすれば、日本での臓器移植数を増やすことができるのでしょうか。
それには、臓器移植数の多い国の制度にヒントがあります。
海外では、医療機関で「脳死状態の患者」が出た時のネットワークが整備されているからです。
つまり、医療機関で「脳死状態の患者」が出た時に、臓器移植斡旋機関である「臓器移植ネットワーク」への連絡を義務づけることが日本でも重要だ――と専門家は指摘しているのです。
「脳死」の連絡を受けた公益社団法人「臓器移植ネットワーク」では「臓器移植コーディネーター」が重要な役割を担っています。
ドナー(臓器提供者)とレシピエント(臓器受領患者)間におけるそれぞれの家族の同意形成や臓器適合条件(血液型、サイズ、抗体反応など)のチェックなど、すみやかな移植に向けた連携が求められるからです。
「臓器移植コーディネーター」が適切に動ける環境整備が極めて重要となっているのです。
現在、日本ではあくまで「任意」での「脳死連絡」のため、移植ヘとつながる道筋が、事実上ほとんど閉ざされている――という残念な状態だからです。
なお、臓器移植手術の促進で、救える命を救うためにも、私たち自身も元気に生きているうちから、臓器提供の意思表示をきちんとしておくことが大切でしょう。
人間、いつ怪我や事故で脳死状態になるか、わからないからです。
自分の意志を生きているうちに記録に残し、臓器移植について家族とのコンセンサスも得ておくことによって、スムーズな臓器移植への道が開かれるからです。
運転免許証やマイナンバーカードに臓器提供の意思表示をはっきり記録しておくことが求められます。
イギリスでは、運転免許証の申請時に、「臓器提供者になりますか?」と尋ねると、「NO!」という回答が多かったため、質問方法を変え、「NO!」と答えた場合のみ、「臓器提供者にならない」という形に変えたところ、「NO!」と答える人が激減し、結果的に臓器提供に「OK!」の人が増加した――という実例もあります。
これは、行動経済学の「ナッジ理論」の有名な例ですが、日本の現行の運転免許証の意思表示の記載方法にも、こうした工夫が必要でしょう。
私たち人類の生命尊重の大義のためにも、脳死後の臓器移植提供には「OK!」と記しておくことが、「共助の精神」にも適うのです。 ※2023年6月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は、神樹兵輔氏のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年6月19日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読を ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
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』(2023年6月19日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。