中国で「臓器移植」斡旋・仲介での金儲けが横行
いずれにしろ、手術件数の多さと、移植後の生存率の高さは比例しており、中国は現在、世界でも有数の臓器移植大国――といってよいほどのレベルに達しているようです。
なにしろ中国では、今も子どもが頻繁に誘拐され、勝手に臓器を取られた――といった事件が日常的に起こっています。
日本で誘拐事件が起きたら、それこそ日本中が大騒ぎですが、中国での子どもの誘拐は、それほどのことでもない、よくある事例になっているのです。
つまり、菊池容疑者のNPO法人「難病患者支援の会」が仲介する中国での臓器移植の費用は、腎臓が約2,000万円、肝臓が約3,000万円、心臓が3~4,000万円と高額で、この中に治療費や渡航費、同会の手数料が含まれていた――といいます。これだけでも、べらぼうな儲けが確保されていたのです。
日本の臓器移植法では、臓器移植の斡旋や仲介で利益を得ることは一切禁止されていますが、菊池容疑者はあくまでも「臓器提供での対価は受け取っていない。患者の支援活動にすぎない」と強弁していました。
また、「海外に渡航して臓器移植を受けることについては、法律の制限はまったくない」とも主張していたのです。
同会が臓器移植を仲介したという、これまでの170人のほとんどが、中国の病院での手術だったもので、「医療費の高い米国での移植と比べ、中国での移植なら10分の1から、5分の1の費用に抑えられ、病院の設備も万全である」と患者やその家族には豪語していたそうです。
しかし、コロナ禍で中国の病院での臓器移植ができなくなった…
しかし、2019年末以降、コロナ禍に入ってから、同会は中国での臓器移植の仲介ができなくなります。
そのため、新たな移植手術の受け入れ先として、移植事情の不透明な東欧のブルガリアやベラルーシ、中央アジアのキルギスに狙いを変えていったのでした。
しかし、これがうまくいかなかったのです。
中国での設備の整った移植手術とは異なり、設備不良や移植技術の未熟さも重なり、そこでの移植手術の結果が不調だったばかりか、生体移植(=臓器売買)の疑いもあって患者と揉めるまでになり、ついには今回の逮捕に繋がった「臓器移植の無許可斡旋」の発覚に至ったのでした。
中国での渡航移植手術はうまく回っていたものの、新型コロナのパンデミックで、移植手術の国を変えたら、途端にうまくいかなくなったというわけだったのです。