日本市場の約半数の企業はPBRが1倍を割っている、つまり企業が純資産以上の価値を生み出さないと考えられている状況です。東証も危機感を持っていて、この状況を変えようと区分見直しを行ったほか、さらに踏み込んだ対策を行うとしています。そこで今回は、経営が改善されることによってPBR1倍割れから評価が回復する可能性を持った銘柄を3つ絞り出してみました。ぜひ参考にしてください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
全上場会社の約半数がPBR1倍割れ
今回はPBR1倍割れの企業に注目してみたいと思います。
PBRが1倍を割っているということは、株式価値が解散価値を下回っている=割安と捉えられていますが、なんと日本市場の約半数の企業はPBRが1倍を割っている、つまり、企業が純資産以上の価値を生み出さないと考えられているのです。
東証も危機感があるようで、1月30日の『市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理』において、「全上場会社の約半数がPBR1倍割れの状況にメスを入れない限り意味が無く」と、かなり力強い言い方をしています。
これにより、日本企業に注目が集まっていて、PBR1倍割れという状況が解消されるならば、これまで「成長性が無い」ということで手を出しづらかった外国人投資家も入ってくるのではないかと言われています。
実際、多くの外国人投資家は日本株が割安なのは分かっていて、あとは経営陣が前を向いて改革に進めるかどうかだという見方をしています。
ということで今回は、経営が改善されることによってPBR1倍割れから評価が回復する可能性を持った銘柄を3つ絞り出してみました。ぜひ参考にしてください。
日産自動車<7201>
1つ目は日産自動車です。
PBRは0.4倍とかなり低いです。
これはどちらかと言うと復活銘柄ということになります。
自動車業界全体が低評価な中で、直近のゴーン氏の問題もあり、一層株価が下がってきました。
しかし、『脱ゴーン』の改革を進めています。
元々、日本の自動車メーカーの中では現時点で最も電気自動車に力を入れていました。
リーフに加えて、SUVの「アリア」や軽自動車の「サクラ」など、自動車業界の評価も高く、販売も好調のようです。
業績を見てみますと、現時点で最悪期からは回復したと見えますが、まだ以前の水準までは戻っていない状況です。
日産の面白いところは、直近でルノーとの提携を解消したところです。
ルノーに株の43%を持たれていたのを15%にまで減らすとしています。
ルノー側からするとすぐに株を売ると損をしてしまうので高いところで売りたい、日産にとってはルノーには早く株を売ってほしい、ということで、日産の経営陣には株価を上げるモチベーションが働いていると見られます。
株価を上げることで、ルノーから脱却できるということです。
目下、半導体不足で苦しんでいますが、電気自動車が海外でも評価されるようになれば面白いことになるのではないかと思います。
とにかく、かつての株価を取り戻せるかというところに期待が集まっています。
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