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なぜ違法な臓器移植が野放し状態?ドナーが圧倒的に足りぬ日本で“金儲け”斡旋仲介が横行する闇=神樹兵輔

今年2月、NPO法人「難病患者支援の会」の理事で実質代表者の菊池仁達容疑者が「臓器移植法(無許可斡旋)」違反で逮捕されました。現在、角膜移植を除き、日本での臓器移植の斡旋事業が認められているのは、公益社団法人の「臓器移植ネットワーク(JOT)」だけです。にもかかわらず、この菊池容疑者は、20年近くも前から、170人もの海外渡航での臓器移植を支援してきた――と実績を誇っていたのです。いったいなぜ、こんなことが野放しにされていたのでしょうか?(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)

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※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年6月19日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

NPOの理事が「臓器移植法(無許可斡旋)」違反で逮捕

今年2月、人の生死に直結する衝撃的な事件が報じられました。

NPO法人「難病患者支援の会」の理事で、実質代表者の菊池仁達容疑者が、「臓器移植法(無許可斡旋)」違反で逮捕されたのです。

このNPO法人は、難病患者の支援を謳いながら、実態は、臓器不全者の悩みや弱みに付け込んで「臓器移植の斡旋仲介業務」で金儲けに励んできた悪徳業者だったのです。

なお、臓器移植の「無許可斡旋」での摘発は、国内で初めての事例でした。

まもなく公判が始まりますが、報道によれば菊池容疑者は、昨年10月、自身のNPO法人を「日本政府公認の団体」と勝手に名乗り、ベラルーシ側に日本人患者3人を送り込み、患者3人のうち手術を受けさせた2人を術後死亡に至らせ、1人は手術を受けずに帰国させていました。

3人が、NPOに支払った移植費用は合計1億3,000万円でした。

うち、手術を受けずに帰国した男性1人は、国内では違法のはずの生体腎移植まで仲介されようとした――と証言したのでした。この男性が支払った費用は未だ返還されていません。

日本での脳死以外での生体移植は、3親等内の姻族と6親等内の血族、そして配偶者にしか認められていないため、この男性は違法になるのでは――と手術を受けなかったというのです。また、劣悪な病院施設の状況にも不安を覚えたといいます。

当然ですが、このNPO法人は、先進国では臓器売買につながりかねないために禁止されている「生体臓器移植」の斡旋仲介にも積極的に手を染めていた疑いがもたれています。

ただし、海外での立件は難しいため、菊池容疑者の今回の逮捕事由は、あくまでも「臓器移植の無許可斡旋」に限られています。

現在、角膜移植を除き、日本での臓器移植の斡旋事業が認められているのは、公益社団法人の「臓器移植ネットワーク(JOT)」だけです。

にもかかわらず、この菊池容疑者は、20年近くも前から、170人もの海外渡航での臓器移植を支援してきた――と実績を誇っていたのです。

いったいなぜ、こんなことが野放しにされていたのでしょうか?

中国は「違法な」臓器移植のメッカ?

この菊池容疑者なる人物は、もともとは横浜市内で布団製造会社を経営していたものの、低コストで布団製造ができると、中国に製造拠点を移したことから、その後の中国での臓器移植のコネクションを築いていくことになったようです。

ちなみに、日本で臓器移植が認められるようになったのは、1997年に「臓器移植法」が成立してからですが、その後も国内での脳死移植は、ドナー登録者数も少なく、なかなか移植がすすまない現状がありました。

それゆえ、中国にいた、この菊池容疑者のところにも、2005年頃、親族から「人工透析で苦しむ知人に中国での腎臓移植手術を受けさせたいが何とかならないか?」という相談が持ち込まれたのでした。

これをキッカケとして、臓器移植はカネになる――と踏んだ利にさとい菊池容疑者が、臓器移植斡旋仲介に目覚めたのは間違いなかったことでしょう。

菊池容疑者は、NPO法人「難病患者支援の会」を2007年6月に立ち上げています。そして「患者支援」を口実に、大っぴらに海外渡航での臓器移植手術の斡旋仲介業務をスタートさせたのでした。

中国では、当時から、脳死した人や死刑囚からの臓器移植が盛んに行われていたようです。

そして今日に至っては、移植後の生存率も世界トップクラスになった――といわれているほどなのです。

また、中国政府の公式アナウンスでは、現在の年間移植手術件数は1万件前後というものの、実際にはもっと多いはず――と世界からは疑問視されています。

なぜなら、そもそも移植の主たる供給源は死刑囚というものの、年間数千人単位の死刑執行者数と移植手術件数1万件とはそもそも乖離がありすぎるからで、数字そのものが到底当てにならないからです。

また、海外の調査機関によれば、実際には反体制派や法輪功の政治犯なども臓器提供者に含めており、病院数や病床数から見ても、実際の臓器移植・手術件数は年間6~10万にまで及んでいるはず――といった指摘まであるのです。

Next: 中国で「臓器移植」斡旋・仲介での金儲けが横行。しかしコロナ禍で…

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