丸紅:食料に強み
- 食料事業:金属に次いで食料セグメントが台頭している
- 電力事業:資源高、円安で現在苦しい状況
- 今後:再生可能エネルギーの拡大を目指す
最後に紹介するのは丸紅です。こちらも金属セグメントが最も利益を稼いでいますが、2位に食料セグメントがきていることが特徴です。
出典:丸紅 23年3月期 決算会説明資料より作成
金属セグメントは豪州の石炭・鉄鉱石チリの銅山などへの権益ビジネスであるため、他の総合商社と差はありません。
食料第二セグメントではアメリカ・豪州を中心に牛肉などの畜産物・畜産加工品やトウモロコシや大豆、菜種などの穀物の販売及び輸出入を行っています。アメリカのヘレナ社という農薬肥料の米国第2位の農薬肥料の販売会社へ出資を行っています。
再び伊藤忠との比較になりますが、伊藤忠が消費者接点、いわゆる川下に強みがあるのに対し、丸紅は加工前の牛肉や穀元など川上に強みがあると言えます。
そして、丸紅といえば電力事業!というイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、現状は芳しくありません。円安と資源高によって電力事業は苦しい状況が続いています。
そんな丸紅の中期経営計画は、グリーン・エコに全振りという内容です。
出典:丸紅 中期経営計画
金属資源・食料・電力など環境問題に直結しているセグメントが利益上位にきている現状を考えると、環境負荷の低減、循環経済・脱炭素(天然ガス・LNG)への移行を行うことで新たなビジネスを生み出すという方針は理解できます。
現在はカタールで太陽光発電事業を行い、ワールドカップで電力が使用されるなど実績もあります。
これが食料に強みがあり、環境負荷の軽減を通じて成長を目指す丸紅の現状です。
総合商社は業界内順位変動が激しい
最後に、各社の特徴と市場評価を一覧表にまとめました。
やはり、三菱商事の強さが目立ちますが、この業界は資源価格の変動リスクが高く、毎年業界内の利益高ランキングに変動があります。
例えば、2016年や2021年などの資源価格下落局面では伊藤忠商事が業界首位になった年もあります。非資源に強みがあることが株価にも反映されていて、見ごたえがありますね。
このように、総合商社はそれぞれが特徴を持ち、激しい争いを繰り広げています。
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2023年7月20日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。