fbpx

高齢者が金づるに…ブラック介護付有料老人ホームが乱立する理由。格安施設ほど“5つの虐待”が横行している=神樹兵輔

格安介護付有料老人ホームのチェーン化がすすんでいるが、実態は薄利多売の「ブラック施設」。老人はただの金づるに

ところで近年、ものすごい勢いで伸びている全国チェーンの介護付有料老人ホームがいくつかあるのをご存じでしょうか。

なんと、全国に100施設以上を展開して儲けている「薄利多売の介護付有料老人ホーム」チェーンがあるのです。新聞折込広告では、一見すると「入所一時金ナシ」「月額費用一律10万円」と謳う、公的施設の特別養護老人ホーム並みに格安の老人ホームチェーンの存在なのです。

「これはスゴイ!安い!」と飛びつく人も少なくないことでしょう。歩行障害や認知症を患う高齢者の親をもつ人は、「これだ!」とばかりに飛びついてしまう価格の安さです。

こういう格安・介護付有料老人ホームに、自分の親を入所させて、はたして大丈夫なのでしょうか?

もちろん、大丈夫ではありません。心配の種がつきない諸々の問題を抱えているからです。しかし、こういう安い施設に要介護の親を入所させるしかない――という現役の家族も少なくないのです。

家族だけでの自宅介護では、老人が老人を介護する「老々介護」や認知症の老人が認知症の老人を介護する「認々介護」にもなりかねず、ふつうの家庭生活そのものが成り立たなくなるからです。

そのうえ、介護施設に入る高齢者の半数近くが、年金だけでは生活費が足りずに生活保護の受給を受けています。

生活保護の援助を一部受ければ、東京都の単身者なら月額で12万円程度の収入は確保できます。これだけあれば、リーズナブルな格安料金を売りにする全国チェーンの介護付有料老人ホームにも入れるわけだからです。

つまり、この現状は介護業界においては、すでに貧しい老人を食い物にする「貧困ビジネス」が蔓延しているのが日本の実情といっても過言でないわけです。

格安・介護付有料老人ホームチェーンの実体は「カネむしり」

入所一時金ナシで、月額一律10万円の格安.介護付有料老人ホームに入所すると、どういうことになるのか。内部告発の事例を紹介いたしましょう。

センター長には、本部から入所者一人当たりの売上ノルマが決められており、各施設の売上を競わされます。

入所すると、高額の空気清浄器を無理やり買わされたり、おやつの菓子類や果物類を本人の同意のあるなしや、疾病(糖尿病など)の有無に関わらず、のべつまくなしに提供し、その費用を家族に請求するのが常道だそうです。

当然ですが、これでは月額10万円ではおさまらなくなります。月額12万円、13万円と請求される羽目に陥ります。

また、介護施設では入所者の3人に1人というヘルパー要員の配置が義務付けられていますが、これは常勤の場合で、実際には24時間の要介護者への要員体制では、休憩時間も含まれるため、要介護者10人に1人のヘルプしか行えないのが実態です。

排泄物は垂れ流しで、おむつ交換も朝だけ1回というような施設が少なくないのです。

Next: 何もせず放置も?要介護者への「虐待」が増え続けている……

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー