ほけんの窓口が好調の伊藤忠商事
伊藤忠商事の24年3月期第2四半期の売上は▲3.1%の6兆7,440億円。利益は▲14.5%の4,128億円です。
同社の特徴は、非資源分野の利益割合が高いことです。
出典:23年3月期 各社決算説明資料より作成
伊藤忠商事の関連会社を見てみると、繊維セグメントにはconverse・Reebok・デサント・アンダーアーマーが、機械セグメントには国内最大手の輸入車ディーラーであるヤナセが存在しています。
また情報・金融セグメントがあることも特徴的です。このセグメントにはほけんの窓口、外為どっとコムが関連会社となります。このように財閥系総合商社と違い、「え!あそこも伊藤忠なの!?」となるケースが多く、消費者との接点が多いことが大きな特徴です。
今期の決算は他社と状況が同じであり、金属事業は前年同高値で推移していた石炭や鉄鉱石の価格下落によって大幅減益です。さらに、昨年好調だった建材や紙パルプなどを取り扱う住生活事業も、パルプ市況の下落と販売低調によって減益となっています。
一方で情報・金融セグメントは好調です。伊藤忠テクノソリューションズの業績拡大と、人流回復に伴うほけんの窓口は集客に成功しました。またファミリーマートはPBのファミマルなどの拡販があり業績拡大しました。
出典:伊藤忠商事 決算説明資料
通期では最終利益が3%上方修正されました。市況価格の下落によるマイナス影響と円安によるプラス影響があります。
バッファを除いた(上振れの)当期純利益見込みに変更はないものの、下振れ幅が少なくなる見通しであることが修正の要因です。随所に為替の影響が大きいことは他社と同じです。
出典:伊藤忠商事 決算説明資料
私の印象では、あくまで下振れ幅の縮小の上方修正ですから、事業が好調という印象は持ちづらいと思います。
輸送機が好調の住友商事
次は住友商事を分析します。
同社の主力事業は、鉄鉱石や銅の鉱山経営を行う資源化学品事業、北米で鋼材や鋼管などの生産、輸出入を手がける金属事業、航空機や船舶ののリース等を行う輸送機・建機事業です。
住友商事の24年3月期第2四半期の売上は▲0.13%(3兆3,438億円)、利益は▲18.7%の(2,848億円)です。1Qよりも成長鈍化していますが、売上は他社よりは減少幅が小さく止まっています。
利益源の最大要因は資源価格の下落ですが、他社同様に4%の上方修正を行っています。
私は住友商事の上方修正は前向きに捉えています。
何故ならば、修正理由が郵送機と北米の鋼管事業の好調によるものと判断できるためです。
特に輸送機・建機事業は当初130億円の赤字だったものが270億円の黒字に変更されています。この400億円のプラスがそのまま通期見通しに上乗せされています。
従って、5大商社の中で最も前向きな、自社事業が好調であることが要因である上方修正と言えるでしょう。
出典:住友商事 決算説明資料より作成
全体としては減益ですが、その中でもポジティブな様子が見て取れるのが、住友商事の現状です。