「悲観で買うこと」の確実性
そして、「起きた事実に適切に対応する」こととして確実性の高いことが「悲観で買う」ことです。
前頁の(1)「少しでも予測可能性の高いものについて考える」とも関連しますが、どんな相場や企業でも時に予想外の出来事に襲われます。すると、株価は往々にして過剰反応してしまい、本来あるべき価格より低い水準まで下がってしまうことが珍しくないのです。
この過剰反応は、どんな時代でも起きていることです。だからこそ、予測できない株式市場の中でも普遍的に「悲観で買う」という法則が浮き上がってきます。
ウォーレン・バフェット氏も「私たちが買いを入れるのは他の投資家がレミングのごとく一斉に売りに傾くとき」と言っています。
すなわち、シナリオにない予想外の出来事が起きたときこそ、本当の意味でのチャンスなのです。したがって、当たりもしないシナリオを描くことは無意味ではなく、何が想定できて、何が想定できないのか。ここを分けて考えるだけでも、冷静な投資を行う上ではとても大切なことになるのです。
2023年、最も「悲観された」セクターは?
「悲観で買う」方法として、コロナ・ショックのような予想外の出来事を待つのも良いですが、それがいつ来るかはそれこそ誰にも分かりません。ひたすら待っていたら、株価はあれよあれよと上昇し、ただ指を咥えて見ているだけという人を、これまでたくさん見てきました。
予想外の出来事を待つ前に、私たちの目の前にはすでに悲観にあふれているものがあります。例えば、2023年の下落率ランキングを見れば、どんな銘柄が悲観に溢れているか、一目瞭然です。この中から、本当に良い銘柄を見つけ出せれば、リスクを下げつつ良い銘柄を購入できるはずです。
「そうは言っても、下落トレンドの銘柄を買っても良いことなんてないんじゃないか…」と思ってしまいそうですが、期間を長く取れば心配することはありません。
例えば、下記の表は年ごとのセクターごとの株価変化率をランキング形式にしたものです。これを見るだけでも、それまで悲観されていたセクターが急に盛り返す、ということが珍しくないことがおわかりいただけるはずです。

出典:NEXT FUNDS
本稿執筆時点(2023年12月26日時点)で、この1年の上昇率が高いのが上から順に「精密機械」「海運」「鉄鋼」となっています。逆に、下落率が高い順では「電力」「医薬品」「繊維」となっています。

出典:株マップ
下落率が高い業種の中で、「医薬品」などは長期的なテーマとして取り組みがいがありそうですね。