下落率ランキング上位「日本M&Aセンター」や「エムスリー」はどうか?
それでは、個別銘柄はどうでしょうか。時価総額1,000億円以上の企業の1年間の下落率ランキングは、以下のようになります(2023年12月26日時点、出典:みんかぶ)。
住友ファーマ(4506):▲55%
日本M&Aセンター(2127):▲52%
東邦チタニウム(5727):▲37%
チェンジHD(3962):▲36%
エムスリー(2413):▲36%
日本新薬(4516):▲35%
ヤマハ(7951):▲34%
ミルボン(4919):▲34%
そーせい(4565):▲34%
IHI(2587):▲31%
この他、有名企業では資生堂(4911):▲31%、タカラバイオ(4974):▲30%、ヤクルト(2267):▲30%などが並びます。
総じて見ると、セクター別でも厳しかった医薬品銘柄が並んでいますし、同時に成長株として名高かった日本M&AセンターやチェンジHD、エムスリーも名を連ねています。
中には、業績はしっかりと伸びているのに、株価は必要以上に下落しているように見える企業もあります。もしかしたら来年、再来年の大化け株になるものも出てくるかもしれません。
<日本M&Aセンター>
例えば、日本M&Aセンター。M&A仲介会社最大手であり、業績も好調。しかしながら、不正会計や幹部の大量離職などが報じられ、2023年3月期はついに減益に転換。成長株への逆風もあり、株価は1年で半分になってしまいました。

日本M&Aセンター 通期業績推移(出典:マネックス証券)
足元の業績も減益傾向が続いていますが、業績改善に向けた努力が続いています。経営が安定し、減益が落ち着きを見せれば復活はあるかもしれません。
<エムスリー>
エムスリーに関しても、少し下げすぎかなという印象があります。一時的な要因を除けば増収増益傾向が継続していますから、日本M&Aセンター以上に悲観すべき状況でもないように見えます。

エムスリー 通期業績推移(出典:マネックス証券)
リスクとしては、成長率が鈍化し、M&Aに依存する体質になってしまっていることでしょう。従来のMRくん、m3.com1の運用というシンプルなビジネスモデルが複雑になってしまっていることも、判断を難しくしているように見えます。
<日本新薬>
医薬品銘柄では、日本新薬を取り上げます。明確にこれといった下落要因が見当たりません。同社は新薬開発に特化した企業で、泌尿器科や血液内科、難病・希少疾患領域に強みを持ちます。

日本新薬 通期業績推移(出典:マネックス証券)
新薬開発は、開発における成功率の低さと、特許切れの問題がつきまといます。日本新薬も今後数年で特許切れを迎える肺動脈性肺高血圧症治療剤「ウプトラビ」の特許切れに伴う売上減が懸念されていますが、同時に新たな柱となるべき新薬の開発を続けています。新たな柱を見つけられれば、大きな反発も期待できるかもしれません。