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高配当株「LIXIL」は買いか?窓リノベ“補助金”の追い風と配当利回り4.75%の裏に潜むリスク…長期投資家はどう判断すべきか=佐々木悠

LIXILの配当は続くのか?

投資家であるあなたは、「事業は多少厳しくても、配当が続くのなら大丈夫」と思うかもしれません。しかし、現状は厳しい状態です

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表の最後の通り、24年3月期の配当を予定通り捻出した場合は、配当性向が234%となる計算です。つまり、稼いだ利益以上の配当金を、これまでの利益を切り崩しながら分配しているのです。

 

なぜこのような配当政策をとっているのでしょうか?

それはリフォーム需要の追い風がきているため、と考えられます。

リフォームで活路を見出せるか?

先に述べたとおり、新築需要はすでに下火であり、好転することは考えづらいでしょう。代わりにLIXILが狙うのは、リフォームによる成長です。

すでにウォーターテクノロジー事業の半分以上が、リフォーム需要によるものです。

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出典:決算短信より作成

 

市場の予測では、住宅リフォームの市場は団塊ジュニア世代のリフォーム需要増加や、単価の上昇によって、長期的に拡大する見込みです。

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出典:矢野経済研究所

この波をうまく捉えることができれば、新築需要の減少をカバーできるかもしれません。

そして、目先LIXILにとって嬉しいトピックがあります。

それは、政府の補助金です。

先進的窓リノベ事業が追い風になる

その補助金とは、先進的窓リノベ事業です。ガラス工事(既存窓のガラスのみを取り外し、既存サッシをそのまま利用して、複層ガラス等に交換する工事)や内窓工事(既存窓の内側に新たに内窓を新設する、または既存の内窓を取り除き新たな内窓に交換する工事)を行うと一戸あたり200万円まで政府から補助金が出るのです。

 

窓・内窓ともにLIXILの主要製品ですから、この政策は事業にプラスです。実際、最新の24年3月期3Q時点では、補助金による需要増加と値上げを行なったことで、利益率が改善しています。

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出典:決算説明資料

 

問題はこの補助金の継続性です。参考になる文を引用します

 

新たに新設された先進的窓リノベ事業は、経済産業省と環境省による支援事業です。

「この事業がつくられた背景には、2050年カーボンニュートラルの実現や、それに向けた2030年度の目標達成などがあげられます。目的は、既存住宅に設置されている窓の断熱性能を高めることで、既存住宅の省エネ化や冷暖房費の負担の軽減などがあります」

最大200万円の補助金がもらえる。「先進的窓リノベ事業」について詳しく解説より引用

この動機であれば、先進的窓リノベ事業が、中長期的に継続する可能性も考えられます。ホームテクノロジー事業で窓やドアを取り扱うLIXILにとっては、新設住宅着工戸数の減少に対応できる1つのトピックかもしれません。

Next: LIXILグループは買いか?長期投資家が判断すべき高いPERの妥当性

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