これまで会場内への食品の持ち込みを原則禁止としていた大阪・関西万博だが、万博協会は5日、規約を更新し持ち込み禁止物から「食品全般」を除外したと発表したと報じられている。
協会は今年1月、万博では「食品全般、酒類、ビン・缶類の飲料」の持ち込みを原則禁止とする規約を公表。その理由として、手荷物検査に時間がかかることなどを挙げていたが、その後協会内から「検査の仕方を工夫するsことができるのではないか」と、規約を白紙にして見直す考えも浮上していたとのこと。
協会幹部によれば、検査は保冷バッグなどをカバンから取り出さaない方法で行うとしており、また弁当などの持ち込みについては、温度管理や保冷バッグの利用などを注意喚起することで対応できるとしている。
「愛・地球博」でも揉めた食品持ち込み問題
2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」においても、その是非が大いに取沙汰された会場内への食品の持ち込み。
この「愛・地球博」では当初、学校の遠足などでは弁当の持ち込みは許可されていたものの、それ以外は信仰や健康上などよほどの理由がない限り、食品の持ち込みは一切禁止とされていたのだが、会場内の飲食店が提供する食事メニューが軒並み“観光地価格”に設定されていたこともあって、来場者を中心に不満の声が殺到。
そのため、当時の小泉純一郎首相による“鶴の一声”によって一転、手作りに限り弁当の持参が認められたといった一幕があったのだ。
そういった経緯も過去の万博にはあったために、今回も食品の持ち込みが遅かれ早かれ認められるようになる……といった流れになることは、大いに予測できたところ。
ましてや先述の通り協会が1月に、持ち込みを原則禁止する規約を公表した際、その協会の副会長でもある吉村洋文知事は間髪入れず「家庭の弁当を広げて万博で食べたい、っていうのは当然あると思いますので、協会として参加者の気持ちになって対応を考えてもらいたい」とコメントしていたとのこと。結果的にはその通りの展開となったということで、SNS上からは「完全なマッチポンプ」だとする見方も広がっているところ。
「手作りの弁当を広げて家族で食べたい、楽しみたいという人は多いと思う。参加者の気持ちになって考えてほしい」
完全なマッチポンプ…しかも紅麹で衛生面の問題の真っ只中なのに…
【速報】万博会場への飲食物持ち込み「原則禁止」から一転「容認」 衛生面の懸念もクリアhttps://t.co/0WuhDyHcYQ
— 人民パットと楽しみ (@patandfun) April 5, 2024
>大阪府の吉村知事が「家族団らんで手作りの弁当を持ち込みたいという要望は多いと思う」として、見直しを求めていました。
アンタ万博協会の副会長でしょ
都合良く役職切り替えるなあ#Yahooニュース https://t.co/fogzL3HrLO— 明るい農村_人民 (@zangus2012) April 5, 2024
吉村知事といえば、テレビで万博批判を繰り返す元テレ朝社員の玉川徹氏に対して「万博出禁」と発言し、それを批判されると日本維新の会の馬場伸幸会長が「イッツ・ア大阪ジョーク」とSNS上で反応し、さらに炎上するといった騒ぎがあったばかり。
さしずめ今回は大阪ジョークならぬ、何よりも来場者ファーストといった体の“浪花節”で、世間からの歓心を買おうとしたものの、あまりにコテコテすぎてバレバレだったようである。
メタンガス爆発事故で飲食店誘致が絶望的に?
いっぽうで、万博開催までまだ1年ほど間があるこのタイミングで、早々と会場内への食品の持ち込みを認めたことに関して、SNS上では会場内に入るレストランなどの飲食店が現状まだ決まっていない、また契約交渉が難航しているのでは、といった憶測も。
何がやりたいの?
飲食店の準備が間に合わないとか?#くるぞ万博万博会場への『食品の持ち込み禁止』が一転してOKに 博覧会協会(MBSニュース)
https://t.co/ThJx5zAYrB— キリヒトハ (@TsubakiHidamari) April 5, 2024
食品の持ち込みを禁止したのは、会場内のレストランを儲けさせるため。解禁したのは、入るレストランが決まっていないため、のように思えます。みんな、万博は中止だと思っています。https://t.co/lwEtlPNJXs
— StudioTakeda (@takedamitsuru) April 5, 2024
食中毒の懸念や手荷物検査の都合など、様々理由を持ち出しては来るものの、やっぱり協会側としては施設内の飲食店にしっかりと儲けてもらい、それに応じたロイヤルティを得たいというのもある意味で本音。しかしながらそれ以前に万博への逆風、不人気ぶりが現段階ですでに著しいこともあって、なかなか決まらない状況なのでは……というのだ。
さらに万博側が食品の持ち込みを容認した遠因として、ここに来て大いに取沙汰されているのが、先月末に発生した万博会場建設現場でのメタンガス爆発事故の影響だ。
地下の空間にたまっていたというメタンガスが、溶接作業の火花に引火して爆発したというこの事故。幸いなことに怪我人は出なかったが、もともとこの現場は廃棄物処分場だった場所で、かねてからその危険性が大いに指摘されていたということ。
溶接の火花に引火してしまうなら、何の料理を作るにしても必ず火を使うであろう飲食店であれば、いつ引火してもおかしくなく、ましてや来場者で混みあう営業中に爆発事故などが起きた日には……ということで、万博側が会場内への飲食店誘致に消極的になっているのではというのだ。
家族連れなどでの来場を予定していたものの、会場内の飲食店はどれも値段が高そうで……と思案していた向きには朗報ともいえそうな、今回の会場内への食品の持ち込み容認。だが、その背景には万博開催を巡っての新たな綻びがまたもや垣間見えるといった状況のようである。
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