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株価急落「ヤマトHD」は買い?約3万人“契約打ち切り”の裏で起こっていること。長期投資家はどう判断すべきか=佐々木悠

日経平均が4万2,000円をつけるなど日本市場が盛り上がる中、冴えない企業があります。それはヤマトホールディングス(以下、ヤマト)<9064>です。2024年年初の株価は約2,500円でしたが、2024年7月現在の株価は約1,800円です。年初から約30%下落しています。今回はヤマトの現状を分析し、ヤマトに何が起きているのか?今後ヤマトはどうなるのか?投資して良いのかを考えます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

利益が伸び悩む理由

ヤマトホールディングス<9064>日足(SBI証券提供)

ヤマトホールディングス<9064>日足(SBI証券提供)

まずは業績の推移を見てみましょう。

ヤマトホールディングス<9064>通期業績推移(SBI証券提供)

ヤマトホールディングス<9064>通期業績推移(SBI証券提供)

営業利益は2021年の920億円から急降下しています。
好調だった2021年はコロナ禍の影響でEC(電子商取引、Amazonや楽天市場など)の需要拡大で配達の取扱数量が大幅に増加し、営業利益を押し上げました。しかし、その後売上は伸び続けているものの利益は右肩下がりとなり、直近の2024年3月期の営業利益はピーク時の半分以下になっています。何が利益を押し下げているのでしょうか?

23年3月期の売上とコストの一覧を見てみましょう。

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出典:決算説明資料より作成

まず、この年の営業収益(売上)は前年比約70億円のプラスです。しかし、支払経費の増加が同153億円の増加ですから、売上の上昇分を上回っています。その大半は委託費と備車費です。委託費は集配委託や作業委託に関する費用であり、備車費とは繁忙期などで車両が不足したときに、他の運送業者からトラックを一時的に借り受けて配送してもらう際の費用です。

一方で、社員給料は約60億円減っています。実はヤマトの社員数は減少しているのです。

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出典:マネックス証券

つまり、これら資料から「ヤマトはEC配達などの荷物の増加で売上は伸びているものの、社員が減少し集配キャパシティが追いついていない。そこを補うために外部委託コスト名が増えているため営業利益は減少している」このように言えると考えます。なぜこのような問題が起きているのでしょうか?

Next: ヤマトの施策は本末転倒?従業員の会社に対する不安が高まった結果……

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