それでも株価が下がる3つの理由
このように、業績や現金の使い方の面に注目すると、好調のように見えますが、2024年に入り株価は35%ほど下落しています。
なぜこのような株価の動きになっているのでしょうか?考えられる3つの理由を考察します。
要因その1. 大株主の売り圧力
オリエンタルランドの大株主は京成電鉄であり、オリエンタルランドの発行済み株式のうち19%を保有しています。実は、京成電鉄はイギリスのファンドであるパリサー・キャピタルからオリエンタルランド株を一部売却するように圧力をかけているのです。
京成電鉄は東京ディズニーランドの設立に関わった関係で60年以上株式を保有しています。この間の株価は10倍以上になっていますから、その株を売却して新規投資に回す動きは、企業としては健全だと思います。
24年の3月には、この圧力もあって元々20%保有していた株式を1%売却し、現在は19%となっているのです。
さらに6月の株主総会でも追加売却するように株主提案がありました。結果は否決であり、オリエンタルランドの株式は売却されずにいますが、この動きを警戒した他の株主が先回りして売却している可能性も考えられます。
つまり「大株主の京成電鉄が株を売る前に、私は売っておこう」という動きがあるかもしれません。これがオリエンタルランドの株価が下落している1つの要因と言えるでしょう。
要因その2. 分割の影響
オリエンタルランドは、2023年3月31日を基準日として、2023年4月1日付で1株を5株に株式分割しました。これに伴い株主優待の制度が変更され3年以上継続保有すれば分割後の100株保有でも長期株主パスポートをもらえるようになりました。この変更により、従来500株(分割後2,500株相当)保有していた投資家が、100株だけ保有して優待を受け取り、残りを売却するという選択肢が生まれました。
つまり「今まで優待目的で500株(分割後2,500株)持っていたけど、100株でもパスポートがもらえるなら残りを売ってしまおう」という動きが一部で起こった可能性があります。
この制度変更による株式の需給バランスの変化も、短期的には株価下落の一因となった可能性があります。
要因その3. そもそもが高すぎた
2024年3月期は過去最高益を達成しましたが、その利益を基準とした2024年1月ごろのPERは約75倍と、コロナ前15年から19年にかけての5年間の平均PERは約40倍を大きく上回っていました。コロナ禍からの回復期待はありましたが、75倍というのはそこから先の成長に対する期待が過剰だった可能性があります。なお、現在のPERは約50倍です。
さらなる期待としてスペースマウンテンやクルーズ船というトピックはあるものの、それぞれ27年、28年からスタートする予定です。これらは少し先の話になるので、市場は目先の新たなる期待がやや薄いと感じている可能性も考えられます。