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石破銘柄「三菱重工」は買いか?防衛費増を追い風に株価高騰も、長期投資には向かない理由=栫井駿介

上がりすぎ?長期投資には向かず

もちろんリスクもあります。

株価に関しては少し上がりすぎていると言えなくもありません。

現在、PERが32倍ほどとかなり高くなっています。
もともと成長力がある会社ではなく、直近で伸びただけに過ぎません。

PER10~15倍で推移していたものが、追い風が吹いて一気に30倍を超えるところまで上がってきました。
もちろん、これから利益が2倍になるとしたらその時のPERが15倍くらいになるのでそこまで割高感はありませんが、果たして業績が2倍になってそれを維持できるかというと疑問もあります。

 

ガスタービンに関しても、受注が同じところから何度もあるものではないので、一時的な需要という可能性も十分にあります。

防衛費については、予算が2倍になるのであれば単純に2倍になって、今の水準くらいは維持するとは思いますが、一方で利益に占める防衛産業の割合は伸びてきたとはいえ20%くらいであり、一番大きいところはガスタービンなどのエナジー分野です。
ガスタービンの需要も、再生可能エネルギーで賄えるようになるまでの繋ぎとして使っているだけで、今後落ちてくる可能性もあります。

 

何より、三菱重工は外部環境に左右されやすい銘柄で、政治銘柄でもありますし、エネルギー関連も世の中の論調に惑わされるところがあります。
今好調なエネルギーの部分も、ライバルのGEやシーメンスがグリーンに注力していて火力発電に力を入れてなかったからこそ受注できたのかもしれません。

 

実力値として業績を伸ばし続けられる企業かというと、必ずしもそうではないので、長期投資向けの銘柄とは言えないのではないかと思います。

今株価が上がっているのは、外部環境の追い風もありますし、割安銘柄の見直しの動きもあります。

 

必ずしも儲からない事業もやり続けなければならないということで、資本効率(ROE)も良いとは言えません。

 

今の追い風を受けてどこまで上がるかというところがいったんの焦点となるのではないかと思います。


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年10月12日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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