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石破政権を警戒する米国の「ジャパン・ハンドラー」たち。選挙を乗り越えても早期退陣を迫られる可能性=高島康司

トランプが大統領になるとどうなるのか?

では反対に、トランプが大統領に選出されたらどうなるのだろうか?

トランプは「ディープ・ステート」の徹底した排除を約束している。「ディープ・ステート」には「ジャパン・ハンドラー」も「ネオコン」も含まれる。2017年から2021年まで続いた前トランプ政権では、「ジャパン・ハンドラー」も「ネオコン」も政権の要職から追放されていた。トランプは、これら軍産複合体系のパワーグループを排除したまれに見る政権だった。今回大統領になると、この方向性はさらに徹底され、このパワーグループが結集する連邦政府の部局も廃止か再編される可能性は大きい。もちろん「ジャパン・ハンドラー」も排除される。

これは日本との関係にも重大な影響を及ぼすことは間違いない。

石破首相は日米地位協定の改定や核の共同保有、アジア版NATOなどの構想を進め、アメリカに隷属した日米同盟の、対等なパートナーシップへの引き上げを目標にしている。これは、各国との同盟関係を再検討し、各国の防衛をアメリカではなく、それそれの国に任せて、世界への関与から撤退する孤立主義のトランプ政権とは親和性のある方向ではないかと思う。

トランプ政権の成立は、アメリカとの対等なパートナーシップを構築して日本の独立を目指す石破首相にとっては千載一遇のチャンスになるかもしれない。

むろん、一国主義で孤立主義のトランプ政権が世界の政治と経済のシステム、そして既存の国際関係に及ぼす影響ははかりしれない。どの国もアメリカとの関係を大幅に調整させられる状況に置かれるのもしれない。日本は、そうした新しい国際環境への適応をトランプ政権のもとで余儀無くされるのかもしれない。しかしそれは、決して悪いことではない。戦後長く続いているアメリカへの隷属体制を少しでも終わらせる出発点になるかもしれない。

石破はカルヴァン派の熱心なプロテスタント

実はこれ以外にも、石破首相がトランプ大統領と馬が合う可能性が大きいことを示唆する状況がある。それは、石破首相が熱心なカルヴァン派のプロテスタントであるという事実である。これは、元外務省分析官の佐藤優氏も詳しく解説しているポイントだ。

石破首相は4代目のクリスチャンだ。小さい頃から母親の和子さんに連れられてプロテスタント系の「日本基督教団鳥取教会」に通い、そこで18歳の時に洗礼を受けた。また、石破首相の母方の曽祖父は、いまの同志社大学の創立者である新島襄から洗礼を受けた金森通倫(みちとも)だ。金森は新島の自他ともに認める愛弟子だった人物だ。

キリスト教ニュースの「クリスチャンプレス」によると、鳥取から上京し、慶応義塾高校、慶応義塾大学に進学後は「日本キリスト教会世田谷伝道所(現世田谷千歳教会)」に出席し、教会学校の教師も務めている。また、自著の「石破茂語録」の副題には、祈っている手のイラストとともに「共に祈りましょう」とある。

ちなみに、カルヴァン派のプロテスタントは、すべての人間には生まれる前から神から与えられた使命と役割があり、人間はその使命を全力でまっとうすることで、天国に行けると教える教派だ。社会学者のマックス・ウェーバーはこれに着目し、自らの使命と役割に徹して禁欲的に蓄財する行動様式が、近代資本主義の原点になったと主張した。

敬虔なカルヴァン派の石破首相も神から与えられた使命として、政治家としての職業を見ている。5年前に「日本キリスト教団」のトップと対談したときに、「神様の御用に役立つことをしたい」と発言している。やはりこれは、石破首相が政治家という職業を神から与えられた使命として考えていることの証左である。ということでは、たとえば「世界平和の実現」、「日本国民の幸福の増進」など非常に理想主義的な目標の実現を本格的に目指し、その実現に向けてまっすぐに努力するという性質の政治家なのだと思う。

Next: トランプ大統領と石破首相によって新しい日米関係が始まる可能性

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