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石破政権を警戒する米国の「ジャパン・ハンドラー」たち。選挙を乗り越えても早期退陣を迫られる可能性=高島康司

周知のように石破首相は、かねてから日本とアメリカの同盟関係が従属関係から対等な関係になるような政策を模索していた。それは以下の3つである。

<1. 日米地位協定の改定>

石破首相は1日夜の就任会見で、日米同盟の強化につながるとして、在日米軍の法的地位を定めた地位協定を改定する方針を表明した。在日米軍に特別な地位を認めた同協定の見直しは、日本側がかねてから課題と捉えてきたが、本格的に公約として掲げた政権はなかった。

<2. アメリカとの核共有>

「核共有」というのは、ヨーロッパの「北大西洋条約機構(NATO)」諸国に米国が配備している核兵器に関して使われる概念であり、石破首相自身、過去には、日本に米国の核兵器を「持ち込む」ことを前提に日本も「核共有」を検討すべきだと主張していた。

<3. アジア版NATO>

今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアに「NATO」のような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。この状況で中国を西側同盟国が抑止するためにはアジア版NATOの創設が不可欠である。

石破政権に対する「CSIS」の反応

所信表明演説や国会答弁などでは石破首相はこうした持論を封印し、一切言及しなかった。だが、「CSIS」のサイトには石破政権の政策を紹介しているページがあり、そこには次のようにある。

石破氏は選挙期間中、在日米軍の地位協定(SOFA)の見直しを提案するなど、日米同盟について言及しており、二国間同盟における非対称性を問題視する立場から、その限界を押し広げる可能性もあります。日本の防衛力と産業基盤の強化を目指す取り組みを長年支持してきたことから、日本の安全保障における米国への依存を減らそうとする本能的な傾向があるかもしれない。

出典:Ishiba Shigeru: Japan’s New Leader(2024年9月27日配信)

ここでは石破政権に対する批判はないものの、ちょっとした警戒感が滲み出ている。

しかし、石破首相の誕生直後に出た記事では、「ジャパン・ハンドラー」のメンバーから石破首相の危険性を指摘するコメントが出ている。

石破氏は日米両国のエスタブリッシュメントが望むよりも、より破壊的な考えを表明している。彼は在日米軍再編協定の改定を求め、第三のレールに近づいた。また、平和主義に関する憲法規定の改正を望むことで、別のレールにも近づいた。さらに、日本を米国の安全保障上の属国から対等な同盟国へと変えるアジア版NATO構想についても語っている。

「彼は米国にとって問題となる可能性がある」と、コロンビア大学の元日本研究者で、現在は日本に多くの時間を過ごすジェラルド・カーティス氏は言う。「彼は、米国との同盟関係は時代遅れであり、占領の匂いがすると考えている」ワシントンで屈指の日本ウォッチャーであるケン・ワインスタイン氏が私にテキストメッセージで伝えたところによると、石破氏は主要な候補者の中で最もアメリカ人にとって読みにくい人物であるという。

出典:What Japan’s New Prime Minister Means for the US – POLITICO(2024年9月29日配信)

ちなみにジェラルド・カーティスは「ジャパン・ハンドラー」の大御所であり、ケン・ワインスタインは「ネオコン」を支持し、近い関係にある「ハドソン研究所」の日本部長である。これを見ると、石破首相は「ジャパン・ハンドラー」と「ネオコン」から危険視された存在であることが分かる。

いま「ネオコン」や「ジャパン・ハンドラー」などの軍産複合体系のグループは、ハリスを全面的に支持している。ハリスが大統領になると、外交政策はこのグループが立案することになるだろう。もしそのときに、石破政権が日米地位協定改定と「アジア版NATO」構想、核兵器のアメリカとの共同運用などの方針を追求しているならば、石破政権はアメリカからの予想以上に強い批判と圧力にさらされ、辞任を迫られることにもなりかねない。

一方、小泉進次郎はコロンビア大学出身であり、「CSIS」の研究員だった。「ジャパン・ハンドラー」に育てられた人物である。石破首相の辞任後は、小泉が首相になる方向に誘導されるかもしれない。

Next: トランプが大統領になるとどうなるのか?日米関係の行方は…

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