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大幅減益「日産」復活の道はあるか?EVシフトがもたらした苦境…打開策はリストラのみ=澤田聖陽

日産自動車は2025年3月期第二四半期決算で大幅な減益を発表した。特に売れる車種が少ないこと、EVシフトによる競争力低下などが影響し、前年同期比で売上・利益ともに大幅な下落を記録。また、今後の成長見込みが不透明な中で、グローバル規模での人員削減や生産能力削減も発表され、厳しい経営環境が続いている。足元では大株主にアクティビティスト(物言う株主)のエフィッシモ系投資ファンドとみられる名前が入ったことで株価が上昇したが、復活の道はあるだろうか?(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年11月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

大幅減益の日産

11月7日、日産自動車(日産)は2025年3月期第二四半期決算(中間決算)を発表した。

数値は以下のとおりである。

売上:59,842億円(前年同期比▲1.3%減)
営業利益:329億円(前年同期比▲90.2%減)
経常利益:1,161億円(前年同期比▲71.9%減)
親会社株主に帰属する当期純利益:192億円(前年同期比▲93.5%減)

前年同期比で減収減益となったが、特に利益の減少幅が大きい。

同時に2025年3月期の売上、営業利益を下記のとおり下方修正している。

売上:12,700億円(修正前14,000億円)
営業利益:1,500億円(修正前5,000億円)

またグローバルで9,000人の人員削減を実施し、生産能力を20%削減することも発表している。

日産自動車<7201> 月足(SBI証券提供)

日産自動車<7201> 月足(SBI証券提供)

なぜ厳しい決算となったのか?

トヨタ、ホンダも11月6日に中間決算を発表しており、以下のような数値となっている。

<トヨタ>

売上:232,824億円(前年同期比5.9%増)
営業利益:24,642億円(前年同期比▲3.7%減)
親会社の所有者に帰属する中間利益:19,071億円(前年同期比▲26.4%減)

<ホンダ>

売上:107,976億円(前年同期比12.4%増)
営業利益:7,426億円(前年同期比6.6%増)
親会社の所有者に帰属する中間利益:4,946億円(前年同期比▲19.7%減)

(筆者注:ホンダは二輪車部門が増収増益になっているので営業利益ベースで増収増益になっているが、四輪事業は増収減益となっている)

トヨタもホンダも利益ベースで前期よりも厳しくなっているものの、日産の落ち込みが突出していることがわかる。

最大の理由は「今の日産には売れる車種が少ない」ということである。

世界的にEVの売れ行きが鈍り、逆にHV(ハイブリッド)やPHV(プラグインハイブリッド)の売れ行きが好調なのだが、日産は経営方針としてEV(電気自動車)シフトを行っており、HVやPHVで売れる車種が少ない。

また中国ではEVの販売は好調だが、中国メーカーの車種が大半を占めている(それでも中国のEVメーカーの多くは赤字で儲かってはないのだが)

日産にとっては極めて厳しい事業環境になっているのである。

Next: 今後の業績回復の可能性は?打開策はリストラのみか…

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