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株価ピークから30%下落「三菱商事」は買いか?低迷要因と成長性を解説。伊藤忠商事との比較も=栫井駿介

<利益確定売り>

株式の需給の特徴でもありますが、株価が5年で3.5倍にも上がったということでそろそろ売ろうという動きが出てきてもおかしくありません。
“山高ければ谷深し”という投資の格言がありますが、急な上昇は急な下落を生むということです。

 

また、バフェットは日本の5大商社に最大で9.9%まで投資すると言っていました。
それ以上になると議決権を持つことになってしまうので、日本の商社の経営にまで携わる気はないというメッセージだったのだと思います。
上限が宣言されていて、既に9%後半まで買っているので、バフェットのバークシャーの買いによるプラスは見込みにくい状況です。

<収益性の低下>

今期の予想ROEは10.23%で、必ずしも高くはありません。
そもそも三菱商事は資本収益性が高い会社ではありません。

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出典:マネックス証券

三井物産もそうなのですが、資源価格が上がった時は一気に20%まで上がったりもしますが、そうでない時は10%を割り込んだり、資源価格によってはマイナス(赤字)になったりもします。
平均で見ると、合格点といわれる8%を上回るかどうかといったところで、やはり図体が大きいので、それほど大きく設けられる投資案件はなかなかあるものではありません。

そう考えると、そもそもどんどん株価が上昇していったり業績が成長していくような特徴の事業を行っているわけではないということです。

 

一方、伊藤忠商事は非資源のところで長年がんばってきていて、資源には誰でも投資できるため収益率は平均的なところに均されてきますが、伊藤忠商事はもっと稼げるところを工夫して見つけてきた結果、ROEが高くなっています。
資源の影響を受けていないので、直近でもROEが高いまま維持できているというのが伊藤忠商事の特徴です。

伊藤忠商事<8001> 日足(SBI証券提供)

伊藤忠商事<8001> 日足(SBI証券提供)

それが株価にも表れていて、三菱商事や三井物産が過去6ヶ月で大きくマイナスだったところ、伊藤忠商事はほぼ変わっていない状況で、一方で上がる時にはしっかり上がっています。

 

三菱商事・三井物産が下がっているのに伊藤忠商事が下がっていないというのも、投資家が資源価格を懸念していることの証左になります。

 

三菱商事の特徴

以上のことから三菱商事の特徴が浮かび上がってきます。

<ネームバリュー・規模・ネットワーク>

有名企業で、社員の年収は2,000万円を超えると言われています。
規模も大きいですし、世界中に張り巡らせたネットワークによってビジネスや投資を成功に導くという特徴があります。

<資源価格に左右される>

業績を見ても分かるように、利益の大部分は金属資源やエネルギー資源に頼っています。
よって、資源価格次第で業績が大きく変わることになり、今のように資源価格が懸念される局面では厳しくなってしまいます。

成長性は限定的

例えば単一事業であれば波に乗った時には大きく伸びるのですが、いろいろな事業を行っていて、投資で言うなら分散投資が効いている状態です。
インデックス投資だと年7~8%の成長性に落ち着いてきますが、三菱商事のビジネスもそのくらいの成長性に限定されることになります。

Next: 三菱商事への投資に向く人・向かいない人は?

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