三菱商事の株価下落が止まらない状況となっていて不安を感じている方も多いかと思います。三菱商事というと、あのウォーレン・バフェットが投資したことで話題となり、2020年から大きく株価を上げてきました。ところが2024年の4月頃をピークに下がってきて、直近6ヶ月では25%程度下落したという状況です。今回は、三菱商事にどんな特徴があって、どんな人が投資するのが良いかということをお話したいと思います。株式投資において、絶対に正解という銘柄はなかなかあるものではなく、それぞれの銘柄に特徴があり、その特徴とマッチする人が買うべきなのです。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
ピークは過ぎた?
まずは改めて株価を見てみましょう。
直近6ヶ月で約25%下落していて、年初来からはまだプラスとなっていますが、4月頃のピークには3,600円くらいあったものが2,500円くらいになっています。
しかし、バフェットが投資した2020年頃から見ると、今の株価でも2.5倍くらいには伸びています。
今の下落は、長い期間で見ると一時的な下落というか、下がったとも言えない数字です。
とはいえ、株価が下がってしまうと不安になるもので、なぜ三菱商事が下がっているのかということも気になります。
逆に言えば、三菱商事が今下がっている要因を知れば、三菱商事にどのような特徴があるかということが見えてくると思います。
なぜ株価下落?
<資源価格(原料炭・鉄鉱石)下落懸念>
三菱商事は、“商社”ということでいろいろなビジネスの間に立って結びつけることもやっていますが、近年はどちらかというと投資に舵を切っています。
特に最近では企業への投資が大きくなっていますが、その前に大きくなったのが資源への投資です。
エネルギーや金属の採掘権を購入して、実際に採掘する会社が儲かれば三菱商事も儲かるというビジネスを行っていました。
直近の業績が好調だったのは、仕込んでいた資源の価格が上がっていたからです。
コロナやロシアのウクライナ侵攻、さらにインフレも相まって資源価格・エネルギー価格は大きく上がりました。
既に採掘してあるものなので、価格が上がれば原価は増えることなく利益だけが上がるという形です。
逆に、価格が下がった時にはその分損にもなってしまいかねません。
石油価格は今も下がってはいないですが、原料炭や鉄鉱石の価格が下落しているということです。
オーストラリアで石炭の権益を持っていたのですが、その価格下落によって予想した収益よりも下がってしまうということです。
また、鉄鉱石も厳しくなっているようです。
なぜ価格が下がってきたかというと、一つはこれまでが高すぎたということがありますが、中国経済の減速というものがあると思います。
中国ではかつてはマンションをどんどん建てるということで鉄の需要が盛り上がって価格が上がっていました。
しかし、今では不動産バブルがはじけて経済が減速していて、新しいマンションを建てることはなかなか無くなっています。
これがもっとひどくなってしまった時にはさらに下がってしまうでしょう。
現に三菱商事が下方修正しているのはその兆候を見て取っているからだと思われます。
同じような傾向が三菱商事だけでなく近しいビジネスを行っている三井物産でも出ているので、これは三菱商事だけの問題ではなく市況の影響が大きいでしょう。
まず知っておいていただきたいことは、三菱商事は資源の影響を大きく受けるということです。
それは必ずしも悪いことではなく、直近のように資源価格が大きく上がっていた時は業績は好調になります。
しかし逆も真なりで、資源価格が下がった時には厳しくなってしまうということです。
今は少し厳しい局面に入っているのだと思います。
Next: まだある下落要因…三菱商事はどんな銘柄?