INPEXの業績
直近の2024年の業績は、増収増益となりました。
ですが2025年2月13日に発表された来期の業績予想はマイナスで、2024年12月期と比べて22.8%減になる見込みとなっています。

このことから、投資家が先行きを懸念していて株価は下落しているようです。
INPEXは石油を採掘する会社の中では、世界11位の企業です。
世界11位というと、海外の石油メジャーと比べて力が弱いといえます。
後発であるINPEXは、市況が悪くなるときは海外の石油メジャーと比べてさらに弱くなりやすくなることも頭にいれておきましょう。
<INPEXのリスク>
これまでINPEXを取り巻く環境について解説しました。
ここでは、INPEXの4つのリスクについてみていきます。
- 天然ガスが利益の6割を占めている
- アバディの不確実性
- ウクライナ戦争終戦の可能性
- 為替リスク
それぞれ解説します。
1.天然ガスが利益の6割を占めている
INPEXの利益は、6割が天然ガスからもたらされていることがわかっています。
「利益の6割が天然ガスだとどんなリスクがあるの?」と疑問に思いますよね。
ここでは、INPEXの売上と利益について詳しくみていきましょう。
・売上の大部分は石油
INPEXの売上の大部分は石油です。
売上の3分の2が石油、残りの3分の1が天然ガスで売上が立っている状況です。
では、INPEXの利益についてみてみます。

INPEXの利益は、イクシスというオーストラリアのLNGプラントから6割が生み出されていることがわかります。
売上の大半は石油だったにもかかわらず、利益の6割は天然ガスからでていることになります。
このことから、石油やLNGなどのプラントがあるなかで、利益がでているプラントとでていないプラントの差が激しいことがわかるでしょう。
・不採算の事業から撤退できない
上の節を見ると、あまり利益がでていないプラントが多数あると読み取れます。
特に原油に関しては、ほとんど利益がでないようなプラントもなかにはありそうです。
石油の採掘は浅く掘ってでる場所もありますが、深く掘らないとでないところもあります。
深く掘らないと石油がでないところは、その分コストがかかるので売上から引くとほとんど利益が残らないようなプラントもあると考えられます。
そこで、利益が出ないなら撤退すればいいと一般企業ならば考えるかもしれません。
ですがINPEXは国のエネルギー政策を担っていて、石油の権益を確保する必要があります。
利益が出るでないにかかわらず、日本に石油を持ってこなくてはいけないので不採算だとしても辞められない事業だということを投資家としてはわかっておく必要があります。
・プラントのリスク
INPEXの業績の変動は資源価格による外的要因もありますが、ここでは個別要因についてもみていきます。

出典:Reuters「INPEX、上半期利益14.5%減、配当金増額と自社株買いを発表」
Reutersのニュースで「7月20日にガス漏れのため停止したが、28日に再稼働した」とあります。
一番利益を生み出しているイクシスのプラントで事故が起きてしまい、稼働できない期間がありました。
今回の事故は比較的小さいものでしたが、もしイクシスに大事故があった時はINPEXの利益の大部分が失われてしまうことになります。
このように、外部環境によるリスクだけではなくプラント個別のリスクもあることをわかっておきましょう。
<2.アバディの不確実性>
INPEXも成長していく必要があるので、インドネシアで新たなプラントを掘るアバディというプロジェクトを進めています。
約200億ドル(日本円で3兆円)かけて、インドネシアでLNGプラントを開発します。
ですがこのプロジェクトは、期待通りに進むのかわかりません。
なぜなら、天然ガスはどのくらいの費用で採掘できるのか掘ってみないとわからないので、想定以上にコストがかかるかもしれないからです。
そのため、このプロジェクトは不確実性が高くリスクが大きいと考えられます。
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