トランプ政権が株式投資に与えるリスク要因
リスクとは将来の不確実性だといえますが、トランプ政権下でリスクとなるのはイーロン・マスク氏の存在です。
トランプ政権内で、イーロン・マスク氏が何をするのか不透明な部分があります。
現在、イーロンマスク氏は政府機関のコスト削減に取り組んでおり、これ自体は好感されるでしょう。
アメリカの政府債務は膨れ上がっており、これを抑制できれば金利低下につながり株式市場にとってプラスになります。
ただ、それがわかっているだけでイーロン・マスク氏の胸の内が見えていません。
また、EVビジネスと石油掘削の推進は必ずしも一致せず、この点も不透明です。
イーロン・マスク氏の動向は個別企業に影響を与える可能性があるため、今後も注意深く見守る必要があります。
トランプ政権下で長期投資家はどう動くべき?
トランプ政権は4年間で、この期間に経済が大きく変わるとは考えにくいため企業も4年間は様子見の姿勢をとると考えます。
このことを踏まえて長期投資の観点から考えると、これまでどおり目先の動きを観察しながらも良い企業を見極め株価が下がるなら買うという基本戦略を続けるのが賢明でしょう。
もし一時的なリスクで株価が下がるなら、長期投資家にとっては絶好の買い時だといえそうです。
経済は基本的に最適化に向かう傾向があり、最終的には競争力の高い企業が勝ち残るという原則は変わりません。
短期的な影響はあるかもしれませんが、単に関税政策などによる下落であればあまり気にする必要はなさそうです。
まとめ
トランプ氏の支持層は、白人労働者や地方の個人事業主の人々です。
彼らは外国や移民に仕事を奪われたと考えており、トランプ大統領はその味方として立ち上がっています。
関税政策は、支持層に寄り添っているというアピール的な側面が強く実際にアメリカに製造業が戻る可能性は低いでしょう。
一方で、エネルギー政策は理にかなっている部分もあります。
関税政策のマイナスの面とエネルギー政策のプラス面が拮抗して今後株式市場はどうなるのかが注目ポイントだといえます。
またトランプ政権の不確定要素として、イーロン・マスク氏の動向には注目しておく必要がありそうです。
トランプ政権を長期投資の目線で見たとしても、最終的には良い企業が強さを維持するという原則は変わりません。
長期投資家としては、目先の変動に惑わされず優良企業に投資することを続けるのがいいでしょう。
長期投資の基本原則に勝るものはなく、良い企業を探して買い下落時に問題がなければさらに買い増すというアプローチが、明るい未来への道筋になると考えています。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年3月7日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。