ダイキンの業績に影響を及ぼす要因
ここでは、ダイキンの業績に影響を及ぼす外部要因について紹介します。
大きな外部要因として、景気動向と関税政策が挙げられます。
それぞれみていきましょう。
<景気動向>
ダイキンは、景気変動の影響を大きく受けます。

過去を振り返ると、業績が大きく落ち込んだのはリーマンショック時やコロナショック時のような景気後退局面でした。
この時期は住宅着工件数が大幅に減少し、それに伴いエアコン需要も低下しダイキンの業績も悪化しました。
現在もアメリカの住宅着工件数は2022年をピークに、急激ではないものの下降傾向です。

また金利上昇に伴い住宅ローンの金利も高くなっているため、住宅購入を控える動きが出てきています。
企業も同様で、設備投資を抑制する傾向が強まると業務用エアコンの需要が伸び悩みます。
このように、景気後退局面ではダイキンの売上に悪影響が出やすいです。
最近景気が減速しつつあり、これがダイキンの業績に影響を及ぼす可能性がありそうです。
<関税政策>
ダイキンの株価に悪影響を与える要因として、トランプ政権による関税政策の問題もあります。
トランプ大統領が、2025年2月にメキシコからの輸入品に対して25%の関税を課す方針を発表しました。
ダイキンはメキシコで製造したエアコンをアメリカへ輸出しているため、この関税政策によって打撃を受ける可能性が高いです。
この対策として、メキシコ製エアコンの販売先を南米に切り替える案も検討されていますが、アメリカと比べて南米の経済規模は小さいため十分な代替市場にはなりません。
こうしたアメリカの関税政策がダイキンの業績見通しに不安を生み、株価下落につながっている原因の1つと考えられます。
ダイキンの株価は今後どうなる?
ダイキンの株価は、超長期的には地球温暖化問題もあることから上がっていくと考えています。
昨年、インドでは気温が50度を記録したというニュースがありましたが、そのような環境ではエアコンなしでの生活は難しいでしょう。
超長期的な視点では、ダイキンのビジネスモデルは地球規模の環境変化による恩恵を受ける可能性があります。
しかし短期的に見ると、ダイキンにとって難しい局面になっています。
なぜなら、トランプ政権に変わって環境配慮に対する姿勢が大きく変わっているからです。
バイデン政権下では、環境保全を意識して太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用する脱炭素化が推し進められてきました。
ですが、トランプ政権下では枯渇性エネルギーである石油や天然ガスで産業を進めていく方針が示されています。
このことから政治的、社会的変化も含めてダイキンの戦略が今後もうまく機能するのか不透明感が高いといえそうです。
中長期的な視点で見れば、ダイキンの戦略は間違っていないと考えます。
環境に配慮した製品開発は、冷媒を使用するビジネスである以上避けて通れない道だといえます。
ヒートポンプ暖房も、地球温暖化の原因となっている化石燃料に頼らないという点では環境面でみると方向性は正しいです。
しかしインフレによる住宅用エアコン需要の低迷や、需要予測の読み違いなど様々な逆風がダイキンに影響を与えていて短期的に見ると厳しい状況です。
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