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なぜ「信越化学」株価急落?長期投資家は買いか?業績推移と将来性、投資判断のポイントを解説=栫井駿介

信越化学の業績推移と成長要因

信越化学は特に2022年、2023年において業績が大きく成長しました。

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2022年、2023年に業績が伸びた理由としては、主力製品である塩化ビニル樹脂とシリコンウエハーの需要が増えたからです。
塩化ビニル樹脂の需要が増加した理由は、米国では以前から住宅が慢性的に不足していたところ、コロナウイルスが蔓延したことにより人々の住宅需要が高まったためです。
そのため、2022年ごろからの米国の住宅着工件数増加に伴い、塩化ビニル樹脂を含む「生活環境基盤材料」の需要が急増しました。

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信越化学は、過去に米国で塩化ビニル樹脂製造のための設備投資を行っていました。
その工場稼働時期が、需要増加の時期と重なったことで業績を大きく伸ばすことに成功しました。
もう一つの成長要因は、半導体シリコンウエハーの需要増加です。
コロナ禍でのパソコン需要増加やテレワークの普及、DX化の加速により半導体需要が大幅に増えたため結果として売上が伸びました。

信越化学の経営戦略

ここでは、信越化学の経営戦略についてみていきましょう。
信越化学の経営戦略として挙げられるのが、凡事徹底と不況期の投資です。
それぞれみていきましょう。

<凡事徹底>

信越化学の経営判断を行っていたのは、2022年に逝去された金川千尋氏です。

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金川氏は、凡事徹底と少数精鋭での即断即決を重視している経営者でした。
凡事徹底ということで品質管理の徹底、コスト削減と品質向上の両立、納期の厳守、顧客とのコミュニケーションを通じた市場把握などを確実に実践していました。
住宅需要の増加時期に合わせて工場が稼働しはじめたことは、偶然ではありません。
米国の設備投資は、このような経営姿勢があったからこそできた経営判断の結果と考えられます。
工場建設は、通常2〜3年の計画期間を要するものです。
コロナウイルスの発生は予測できなかったかもしれませんが、米国の住宅需要の増加傾向は把握していたと思われます。

<不況期の投資>

信越化学は景気が悪化している時期や、資金繰りが厳しい時期に設備投資を増強する戦略を取ってきました
これにより、景気回復時には十分な生産能力で需要を確実に取り込むことができました。
結果として、業界内でのシェア拡大に成功しています。
化学メーカーは、需要が高い時と低い時の差が大きいため売上の変動が激しい産業です。
一般的に、多くの企業は景気悪化時に設備投資を控える傾向にありますが、信越化学は逆のタイミングで投資を行っています。
2008年のリーマンショック時にも工場を新設しており、これらの不況期の投資が後の需要増加時に対応できる体制を構築することにつながりました。

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また、需要過多の時期に過剰投資を行いその後の供給過剰による赤字に陥るリスクについても、信越化学は顧客との長期契約締結により対応しています。
「好況時も不況時も安定した供給量を保証する」という契約を結ぶことで、市場全体の変動が大きい中でも比較的安定した業績を維持しています。

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