信越化学<4063>の株価が直近1年間で30%以上も下落していて「信越化学の株価は今後どうなるの?」と不安に思っている方が多いようです。また「株価が急落している理由を知りたい」という声も多数届いています。結論から言うと、信越化学の株価が今後どうなるのかを判断するのは現在むずしい局面にあります。そこで今回はつばめ投資顧問が、株価が今後どうなるのかを判断するポイントや株価下落の要因について解説します。ぜひ、投資判断の参考にしてみてください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
信越化学の事業内容
まずは、信越化学の事業内容についてみていきましょう。
ここでは、信越化学が製造している製品について解説します。
<信越化学の主力製品>
信越化学は日本を代表する化学メーカーであり、2つの主力製品を持っています。
1つ目は塩化ビニル樹脂です。
塩化ビニル樹脂は、建築物の配管などに使用される素材です。
信越化学は、塩化ビニル樹脂の世界シェアでナンバーワンを誇っています。
2つ目はシリコンウエハーです。
あらゆる半導体の基盤となるシリコンウエハーを製造しており、30%強の世界シェアを占めています。
シリコンウエハー製造企業は世界中に存在しますが、信越化学は品質面で優位性を確立しています。
純度においてほんの少しの不純物も許容しない高品質なウエハーを製造できる企業は、信越化学とSUMCOの2社だけです。
信越化学は高品質な製品製造と品質管理の徹底により、この分野でトップの地位を築いています。
<信越化学の主力製品以外について>
塩化ビニル樹脂とシリコンウエハー以外の製品でも、シリコーンやセルロース誘導体など成長要因となりえる製品を手掛けています。
ですが、これらの製品は主力2製品と比べて競合が多く、シェアも2桁%に達していない製品も多い状況です。
これらの製品は、まだ圧倒的な優位性を確立できておらず研究開発能力の強化が重要な段階にあります。
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