ウォーレンバフェットは保有していたS&P500に連動するETFを、すべて売却していたことが2025年2月14日に明らかとなりました。S&P500インデックスに信頼を置いていたバフェットが「S&P500のETFをすべて売却してしまうとは一体何が起きているの?」と気になっている人が多いようです。そこで今回はつばめ投資顧問が、バフェットがなぜS&P500を売却したのかについて解説します。また、このことを踏まえて長期投資家として今後どうしたらいいのかを紹介します。S&P500の動向は、米国株だけではなくて日本株にも大きな影響を与えるので投資に関心のある人はぜひ最後までご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
バフェットがS&P500を売却
S&P500に連動するETF(SPY・VOO)を、2024年第4四半期にすべて売却したことがバークシャー・ハサウェイのForm13Fで明らかとなりました。
Form13Fとは、四半期末時点の大口投資家のポートフォリオを記載した書類です。
バフェットといえば、アップルやコカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなどをメインに投資していますが、同時にS&P500に連動するETFも買っていました。
バフェットは、S&P500を2019年に買っていたので5年程度の保有となりました。
その期間はS&P500は大きく上昇しているので、利益をあげていることになります。
ただバフェットは買った株を何年かで売却する短期的な投資を志しているわけではないので、利益確定の動きはなにか思惑があると考えられます。
ただ実際のところ、バフェットのポートフォリオのS&P500を占める割合は0.02%です。
S&P500をすべて売ったとはいっても、全体で見ると少量であることは念頭に置いておきましょう。
バフェットは株式投資に後ろ向きになったわけではない
S&P500をすべて売った一方で、株を買っています。
そのため、株式投資自体に後ろ向きになったわけではなさそうです。
ただS&P500以外の株も売っていて、明らかに傾向として見えるものがあるのでそれについて考えてみます。
そこで、バフェットが売った株と買った株についてみていきましょう。
<バフェットが売った株>
バフェットが売った株として、金融株が挙げられます。
バフェットはここ数年銀行株を買い増していたのですが、ここにきて銀行株を手放していることがわかりました。
特にポートフォリオの中でも保有率上位である、バンク・オブ・アメリカの株を大量に売却しています。
バフェットはバンク・オブ・アメリカの株を11.7%持っていましたが、8.9%に縮小させました。(1億1,750万株売却)
他にも、シティグループやキャピタル・ワンなどの銀行やインターネットバンク、クレジットカードを手掛ける会社の株を売却しています。
<バフェットが買った株>
購入した銘柄としては、石油会社のオクシデンタル・ペトロリアムです。
オクシデンタル・ペトロリアムについては、前から購入していて今回もさらに買い増しています。
他にも、ドミノ・ピザやコンステレーション・ブランズというメキシコのビールを米国に輸入販売している会社の株を買っています。
これらを見ると、景気に左右されずに消費され続けるディフェンシブ銘柄を買っていることがわかりますね。
株を買ってはいますが、守りに入っているようなポートフォリオになっています。
バフェットの最新のポートフォリオ
銘柄名:保有率
アップル:28%
アメリカン・エキスプレス:17%
コカ・コーラ:9%
バンク・オブ・アメリカ:8.9%
シェブロン:7%
オクシデンタル・ペトロリアム:5%
ここでは、バフェットの直近のポートフォリオを見ていきましょう。
ハイテク株のアップルが28%、昔から保有している金融株のアメリカン・エキスプレスが17%を占めています。
次いでコカ・コーラは9%となっており、今回でコカ・コーラの保有率は3位となっています。
バンク・オブ・アメリカは、先ほど解説したとおり2%減って8.9%です。
続いて石油関連のシェブロンが7%でオクシデンタル・ペトロリアムは5%です。
今回で金融株を減らして、コカ・コーラのような消費財やエネルギー関連などの生活必需品のような株が増えています。
石油に関しては、トランプ大統領の就任により現在流れが変わってきています。
これまでは、環境問題対策のため世界は脱炭素化ということで石油会社は肩身の狭い思いをしていました。
ですが、トランプ大統領は石油を使用して産業を活性化させることに前向きですので、また石油関連企業が日の目を浴びる可能性がでてきています。