信越化学は景気変動の影響を受ける
信越化学の主力2製品の需要は、景気に左右される傾向があります。
塩化ビニル樹脂は住宅だけでなく様々な用途で使用されるため、景気動向の影響を受けやすいです。
そのため、中国や米国の景気の影響も大きく受けやすいといえます。
信越化学のシリコンウエハーは、主にメモリやロジック向けです。
メモリやロジックの主な用途は、パソコンやスマートフォンなど産業機器向けが中心です。
これらの分野は現在あまり活況ではなく、需要回復の見通しがまだ明確でない状況だといえます。
AI半導体分野は急成長していますが、AI半導体向けウエハーはウエハー市場全体の需要において現時点ではまだ占める割合が小さいです。
信越化学の株価急落の理由は?

足元での株価急落の理由は、2022年、2023年の急激な業績上昇が一服したことが主な要因だと推測します。
現在、塩化ビニル樹脂の需要が落ち着いてきています。
その主な理由は、中国の景気悪化による建設需要の減少や、北米住宅需要の一時的な活況が沈静化したためです。
このことから、株価は下落しているようです。
またシリコンウエハーについては、半導体業界の景気サイクルであるシリコンサイクルに沿って長期契約を結んでいるものの、現在は需要減速局面にあることも株価下落の原因と考えられます。
他にも、主力のパソコン・スマートフォン向け需要の回復見通しが不透明であることも株価が下げている原因の1つでしょう。
これらの要因から、市場は短期的な業績回復を慎重に見ていて下落を続けているようです。
信越化学の株価は今後どうなる?
信越化学の今後の株価についてですが、長期投資の目線でみるとポジティブな要因が少なからずある一方で、短期的にはネガティブな要因が混在しています。
長期的には、塩化ビニル樹脂とシリコンウエハーの市場自体は年平均5〜6%で成長すると見込まれており、この市場拡大の波に乗れる可能性が高いでしょう。
ただし、金川氏の逝去による経営判断の変化は今後注目すべき事項になります。
今後も絶妙なタイミングでの設備投資や顧客との良好な関係維持など、金川氏が主導してきた経営手法を継続できるか不明瞭だといえます。
また、短期的には足元の景況感が悪化していて、その影響を免れることはできないでしょう。
信越化学の投資判断で悩んでいる方は、これらの要因を中心に今後の株価の行方を予想してみてはいかがでしょうか。
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