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アメリカが韓国を「センシティブ国」に指定する当然の理由。韓国経済は大打撃へ=勝又壽良

韓国の政治情勢が混迷を極めている。尹錫悦大統領の戒厳令発動をめぐり、憲法裁判所での弾劾審理と内乱罪捜査が同時進行する異例の事態に発展。国内では大統領擁護派と排除派の対立が激化し、社会不安が広がっている。さらに、米国が韓国を「センシティブ国」に指定し、国際関係にも緊張が走る。韓国の民主主義と外交の行方は、今後どうなるのか。(『 勝又壽良の経済時評 勝又壽良の経済時評 』勝又壽良)

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プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

大統領擁護派と排除派で世論が二分

韓国の政治的混乱は、今や頂点に達している。昨年12月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の戒厳令発動に伴い、「大統領内乱罪」捜査と憲法裁判所での「大統領弾劾」が、同時並行で進む混乱ぶりだ。大統領が、内乱罪に問われるとは尋常でない事態である。これを巡って、世論が二分状態である。大統領擁護派と大統領排除派に分かれ対立している。

憲法裁判所が、近く弾劾決定を下す。これに備えて、裁判所周辺は物々しい警戒態勢が敷かれている。ガソリンスタンドは、臨時休業を余儀なくされているほどだ。裁判結果に不満な暴徒が、ガソリンスタンドを占拠する事態を恐れているもの。民主主義国を標榜する韓国が、迎えた最大の政治危機であることは間違いない。

尹大統領を巡る評価が、二分しているのはなぜか。最大野党「共に民主党」が、議席の過半を得ていることを理由にして、尹政権の政策遂行を妨害してきたという事実が存在する。野党による弾劾連発が、政策進行を妨害しているのだ。大統領擁護派は、この妨害工作が戒厳令発動の発火点になったと強調する。「共に民主党」こそ、政治的混乱の元凶という認識を強め反発している。

大統領排除派は、平時における戒厳令発動という事態を重くみている。戒厳令発動の「結果」を重視する立場だ。大統領擁護派が、戒厳令を発動させた「原因」を重視して、真っ向から対立する構図である。韓国の右派と左派が、激突している形だけに憲法裁判所の決定がどうなろうと、韓国政治は深い対立状態へ落込むことは不可避となった。

アメリカは韓国を「センシティブ国」に指定

米国政権は、韓国の政治的混乱状況をじっと眺めている。トランプ政権1.0は、左派政権の文大統領時代であり、アジアの安全保障政策協力で手こずった経緯がある。文氏の「親中ロ意識」が、米国のアジア戦略遂行において著しく障害になった。こういう苦い経験から、トランプ政権2.0においても、韓国へ「好感」を持っていないのだ。トランプ氏の発言のはしはしに、それがみてとれるのである。

米国は、次期韓国政権が再び左派の手に渡ることから起こる問題の検討に入っている。文政権時と同様に「親中ロ」を鮮明にすれば、米国の国際戦略と著しく齟齬を来す。このことから、米国エネルギー省(DOE)は、韓国を国家安全保障や核不拡散、テロ支援などの理由で「センシティブ国」へ指定した。韓国が、4月15日からセンシティブ国に分類されるのだ。これは、米同盟国の韓国にとって極めて不名誉な事態である。

不名誉レッテル貼られ

米国は、何を根拠にしてセンシティブ国へ指定するのか。理由は、次の諸点とされる。国家安全保障、核不拡散、地域の不安定性、国家経済安全保障への脅威、テロ支援などの恐れがあるというのだ。同盟国へは、最悪のレッテルである。

韓国は、これら条項のどれに「抵触」したのか。

Next: なぜ韓国はアメリカに嫌われた?トランプ政権の狙いは…

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