製薬会社に投資すべきか?
最後に、製薬会社の全体像について簡単に触れておきたいと思います。
製薬会社にはいくつかのパターンがあり、規模の大きなメガファーマ(ジョンソン・エンド・ジョンソン、メルク、ロシュなど)は、複数のブロックバスターを持つことで安定した収益を確保し、特許切れに備えて常に新しい薬の開発や企業の買収を行っています。一方、規模の小さいスペシャリティファーマは、特定の専門分野に特化することでメガファーマに対抗しようとしています(塩野義製薬の感染症薬、中外製薬の血液病薬など)。
そして、日本の製薬会社の多くは、メガファーマとスペシャリティファーマの中間に位置し、いくつかの薬を持っているものの、特化した強みがない場合があります。このような会社は、製薬業界全体の厳しさの中で、今後ますます厳しい状況に置かれる可能性があります。もちろん、エクスタンジのように大成功を収める可能性もありますが、ギャンブル性は否めません。
過去に分析した住友ファーマも同様にパテントクリフの問題に直面しており、厳しい状況でした。
このように、製薬会社への投資は、名前だけで安心して判断するのではなく、パテントクリフのリスク、新薬開発の状況、そして財務状況などをしっかりと理解しておくことが重要です。
今回の分析が、皆さんの投資判断の一助となれば幸いです。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年4月1日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。