いま話題のDeNA<2432>について、長期投資の視点で詳しく解説していきたいと思います。特に、近年の株価上昇の大きな要因となっているポケモンカードゲームポケット、通称「ポケポケ」の収益性と、DeNAという企業の実力について深掘りしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
急騰するDeNA株価の背景:ポケポケの驚異的なセールス
まず注目すべきは、DeNAの株価推移です。

ディー・エヌ・エー<2432> 日足(SBI証券提供)
特にここ1年ほどで株価は2倍以上に上昇しており、その勢いは目覚ましいものがあります。この株価急騰の大きな要因となっているのが、2024年10月末にリリースされたポケポケです。リリース前から事前予約の段階で好調なニュースが流れており、株価は徐々に上昇傾向にありましたが、リリース後にはさらに加速的な伸びを見せています。
DeNAとはどんな会社?
DeNAといえばプロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、DeNAの実態はゲームを中心とした会社と言えるでしょう。
過去の業績推移を見ても、ゲーム事業が利益の大部分を占めており、かつては「モバゲー」というプラットフォームで一時代を築きました。
近年では、ライブストリーミング事業なども展開していますが、現状ではゲーム事業、特にこのポケポケの勢いがDeNAの業績を大きく牽引している状況です。
「なぜDeNAがポケモン関連のゲームを開発・販売しているのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。実は、2015年にDeNAが任天堂と資本提携を行っているのです。現在でも任天堂はDeNAの主要株主の1つであり、この提携を通じて、DeNAは任天堂の強力なIP(知的財産)を活用したゲーム開発を行うことができるようになったのです。過去には「どうぶつの森」のアプリをDeNAが開発した事例もあり、その実績が今回のポケポケの開発にも繋がったと考えられます。
ポケポケ大ヒットの理由:ユーザー体験を重視した設計
ポケポケがこれほどまでにヒットしている理由は何でしょうか?
実際にプレイしている私の子どもたちの様子を見ていると、そのUI(ユーザーインターフェース)の良さが際立っています。まるで本物のポケモンカードをペリペリと開封するような感覚でゲームを楽しめるのです。1日に2回まで無料でパックを開封できるという手軽さも、多くのユーザーに受け入れられている要因でしょう。
DeNAはかつてモバゲーなどの携帯アプリを開発してきた経験から、どうすればユーザーにストレスなくサービスを楽しんでもらえるかがわかっているようです。このユーザー体験を重視する姿勢が、ポケポケの使いやすさ、楽しさに繋がり、幅広い層に支持されているのだと考えられます。
ポケポケの開発・運営体制にも注目すべき点があります。DeNAに加え、ポケモンのIPを管理する株式会社ポケモン、現物のポケモンカードを制作販売する株式会社クリーチャーズの3社が共同で運営・開発を行っています。さらに、DeNAと株式会社ポケモンの共同出資によって設立された株式会社ポケモンカードゲームディースタジオが、ポケポケの開発に特化して実務を担っていると考えられます。この体制からも、ポケポケにかける力の入れようが伺えます。